月刊正論:5月号から  
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産経新聞社「月刊正論」からEISへの提供コラムです。
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   特集 ゛政治漂流″の元凶は誰だ

   「生体反応なし」福田首相が引き起こすパニック(P70〜76) 
 
産経新聞政治部記者●いしばし・ふみと 石橋文登 


 

◆「顔の見えない国」に逆戻り

 おそらくこの本が書店に並ぶころには、「4月パニック」が現実のものになっているのではないか。まあ、消費者の立場からすれば原油高騰の折にガソリン代が1リットルあたり25円下がることは悪い話ではない。全国のガソリンスタンド前に長い車列ができたり、違法と知りつつポリタンクでガソリンを買い込んだりする人が続出し、多少のガソリン爆発事故が起きたとしても「パニック」と大騒ぎするほどのことはないかも知れない。

 だが、日経平均株価の下落ぶりを見ても分かるように、小沢一郎代表率いる民主党にいいように国政を揺さぶられたあげく、たかがガソリン代さえキチンと担保できない日本政府の国際的な信用力がジワジワ低下していることは確実だ。もっと深刻なのは福田康夫首相の発信力の欠如と方向性のなさにより、日本が「顔の見えない国」に逆戻りしたことではないか。これにより日本が失った国益は計り知れない。世界のあらゆる市場が「日本売り」を仕掛ける「真のパニック」の序章が始まったといえるかも知れない。

「4月パニック」の危険性について産経新聞は再三にわたり警鐘を鳴らし続けてきた。まずは福田首相が初の施政方針演説を行った1月21日の1面記事「ガソリン国会でよいのか 忍び寄る『日沈む国』」の一部を紹介したい。

        ×  ×  ×

「もはや政権を代える以外方法はない。いま政権を代えないでいつやるのか。民主党全員が火の玉となって政治決戦の勝利を約束する」

 民主党の小沢一郎代表は16日の党大会で早期解散に追い込み、政権奪取することを宣言した。ターゲットは道路特定財源の5割を占めるガソリンなどの揮発油税。民主党は今国会を「ガソリン国会」と位置づけ、3月末に期限切れとなる租税特別措置法の改正を妨げ、暫定税率分(1リットルあたり25.1円)を値下げする方針を打ち出した。

 民主党は15日、若手・中堅議員で「ガソリン値下げ隊」を発足させ、横浜、大阪などで街宣活動に繰り出した。「ガソリン25円値下げ」の幟(のぼり)を掲げ、半分ほど赤い液体が入ったペットボトルを手に「この赤い分が税金なんです。私たちは体を張って国民生活を守ります!」。原油高に乗じて政権を揺さぶり、国民不信を増大することで解散・総選挙に追い込むシナリオが透けてみえる。(中略)

 日切れ法案が年度内に成立せずに4月1日から物価が乱高下する「4月パニック」の回避は政府・与党の最重要課題だが、今ひとつ反転攻勢に踏み切れないのは、首相が民主党との対話路線に固執していることが大きい。

「民主党の同意を得られるように話し合うことが基本だ。国会で何も決められないことで迷惑を被るのは国民ではないか。話せば分かる」

 首相は15日の記者会見でもこう述べ、民主党が最終的に協調に転じることに強い期待を示した。通常国会冒頭から与党が強硬姿勢を打ち出せば、野党は予算案審議をボイコットする公算が大きい。そうなればあらゆる法案を与党単独で審議し、「3分の2条項」による再議決で成立させることになり、解散風はますます強まる。首相はそう読んだのだろう。

 だが、自民党内には「けんかを先送りすれば事態は悪化するだけだ」(閣僚経験者)との声も根強い。かつて「優柔不断」といわれてきた参院執行部はその急先鋒(せんぽう)だ。

 なぜか。臨時国会で128日間も参院民主党と折衝を続け、その゛正体″を見たからだ。

「参院民主党は政党の体をなしていない。大半は労組や市民団体などの集合体だが、極めて自民党的な人もいる。それぞれが勝手に動いているだけで決して戦略を持ってまとまることはない」

 ある参院自民党幹部はこう断じる。その参院議長、議運委員長を民主党に押さえられた現状では、参院送付後60日間で否決とする「みなし否決」規定(憲法59条)を担保しない限り、採決日程は決まらず、法案はすべて棚上げにされるというわけだ。

 民主党に暫定税率廃止に反対の「道路族」が少なからず存在することも採決をより困難とする。参院自民党でいまも隠然と影響力を持つ青木幹雄前参院議員会長が「けんかは数が多い衆院で勝負すべきだ」と1月中の衆院通過を強硬に求めたのもそのためだ。

 首相にも論理矛盾はある。民主党と協調路線を取るならば、昨年末の予算編成前に揮発油税の扱いを協議すべきではなかったのか。予算を組んでしまえば、その裏打ちとなる歳入関連法案は修正しようがない。税率維持を前提に民主党が協議に応じるとは思えない。

 今年に入り、日経平均株価は下落を続け、1万3000円の「底」が抜けかねない情勢となった。政権を取り巻く環境は厳しくなるばかりだ。株価下落の最大の要因は米サブプライムローン問題であり、原油や穀物の高騰も福田政権の瑕疵(かし)ではないが、景気の先行きに暗雲が広がる中で国会が混乱を続ければ「日本売り」は加速しかねない。

 加えて与野党対立のあおりを受け、次期日銀総裁が3月19日の任期切れまでに決まらなければ、国際金融市場での日本の信頼は地に落ちる。

 中川秀直元幹事長は危機感をこう吐露した。

「ガソリンを25円安くすることだけが国政なのか。昨年KY(空気が読めない)という言葉がはやったが、国際情勢が読めない『KY日本』でよいのか。政局至上主義で政治をやっていたら本当に日本は『日の沈む国』になってしまう」

 5年半もの長期政権を敷いた小泉純一郎元首相も同様の危機があった。イラク戦争前夜の平成15年3月。内閣支持率は急落、株価は8,000円を割り込む中で、小泉氏は開戦直前の3月17日にイラク戦争支持を表明、「米国は『日本への攻撃は自国への攻撃と見なす』と言っているただ1つの国だ」と言い切った。これを境に支持率はV字カーブで回復、株価も上昇に転じた。首相の力強いメッセージが潮流を変えたといえよう。

 首相が協調路線にこだわるのは、自民、民主の大連立の1歩手前までいった11月の小沢氏との党首会談が脳裏にあるからかも知れない。国民パニックを回避するために、3月末ギリギリで「小沢氏は再びこちらを向いてくれる」と淡い期待を抱いているのだろうか。

 だが、「話せば分かる」はずの小沢氏は暫定税率での与野党協議を「(話す余地は)ない。国民生活を守れないようでは国家もヘチマもあったものじゃない」と突き放した。それどころか、永住外国人に地方参政権を付与する法案を参院に提出し、自民、公明両党にくさびを打ち込む動きも見せる。もはや完全に対決モードに舵を切ったようにしか見えない。

 ただ、手練手管の小沢氏ならば簡単に解散に追い込めないことは百も承知のはずだ。総選挙での大敗を覚悟で解散カードを引く首相はいない。そうなれば自民党を割り、内閣不信任案を可決するしかないが、首相を捨て、小沢氏に走る自民党議員は今のところ見あたらない。

 民主党にも「政局的なやり方で物事を進めると国民の支持を失い、われわれ自身が墓穴を掘る」(枝野幸男元政調会長)など国民生活を人質にとる手法に異議を唱える声がある。小沢氏の戦術は両刃の剣なのだ。

 昭和7年5月15日、犬養毅首相は「話せば分かる」との言葉を最期に海軍青年将校の凶弾に倒れたことを思い起こしてほしい。経済危機が現実味を増す中、国民が首相に真に求めているのは大連立への布石ではなく、明確なメッセージと決断力ではないか。

◆目の前の波風さえ収まれば…

 この記事を掲載して2カ月経ったが、杞憂は現実となり、福田政権はカタストロフィーに向かって突き進みつつある。思い返せば福田首相にも「ピンチをチャンスに変える」機会は幾度もあった。

 ガソリン税を含むさまざまな暫定税率が3月末に期限切れとなるため、これらの税率を担保する歳入関連法案(日切れ法案)が通常国会の最大の焦点になることは、福田政権発足直後の昨年10月には与党内ですでにささやかれていた。

 最初にこの危険性を指摘したのはおそらく久間章生元防衛相だったのではないか。久間氏は「日切れ法案を何とかしないと大変なことになる。もし3月末までに法案が通らなくても暫定税率を担保できるように臨時国会で議員立法を通してしまえばいいんじゃよ」と複数の与党幹部らに持ちかけている。「原爆投下はしようがない」発言でミソをつけたとはいえ、「自民党切っての悪知恵の持ち主」と言われるだけの慧眼といえる。

 だが、自民党執行部は新テロ対策特別法案審議への影響を憂慮し、久間氏の案は棚上げされ、現実に浮上したのは3カ月後の今年1月末だった。自民党の伊吹文明幹事長が中心となり国会提出した議員立法「国民生活等の混乱を回避し予算の円滑な執行等に資するための関連3法案」(ブリッジ法案)がまさにそれだ。

 3月末に歳入関連法案が成立しなくても暫定税率を2カ月間維持するこの法案を1月中に衆院を通過させれば、参院が審議を拒否しても憲法59条の「60日間ルール」に基づき3月中に衆院で再議決しパニックは回避できた。ある民主党幹部は「もしブリッジ法案を1月中に衆院通過させられたら民主党はすべての手だてを失っていた」と打ち明ける。

 しかし、ブリッジ法案が委員会採決を経ていよいよ本会議採決という段階で、福田首相は逡巡した。結果は衆参両院議長の斡旋により@総予算および歳入法案は徹底した審議の上で年度内に一定の結論を得るA税法について各党間で合意が得られれば立法府で修正するBブリッジ法案は取り下げる−という3項目を与野党幹事長で合意してしまった。

 与党が斡旋を受け入れた最大の理由は河野洋平衆院議長が「本会議開会のベルを押さない」と言い出したことだ。だが、「4月パニック」を回避するかどうかの、まさに国難をかけた攻防なのだから福田首相は衆院議長を差し替えることまで腹を決めてかかるべきだったのではないか。参院は民主党が院の運営そのものを牛耳っているならば、与党は衆院を完全に制御しない限り勝負できないからだ。

 だが、そういう発想は福田首相には微塵もないようだ。福田首相をよく知る閣僚経験者はこう語る。

「福田首相はとにかく波風を立てることはよくないと考える人だ。目の前の波風が収まればそれでよし。それを人生訓として生きてきた。でもそのツケが後に大波になって押し寄せてくる可能性については考えないんだな…」

 ブリッジ法案への世論の反発を憂慮するならば、なぜもっと早く手を打たなかったのか。そもそも大島理森国対委員長や小坂憲次国対筆頭副委員長らは先の臨時国会中に日切れ法案を衆院に提出し、通常国会冒頭に衆院通過するプランを練っていた。これが却下されると大島氏らは日切れ法案を通常国会冒頭に提出し、1月中に衆院通過させようとした。ブリッジ法案よりも正攻法といえるが、福田首相はゴーサインを出さなかった。

 なぜ福田首相はためらい続けたのか。「パニックが起きれば国民は甚大な被害を被ることになる。国民を政争の人質にはできない」と語りかければ多くの良識ある国民は理解してくれたのではないか。

◆訳分からぬ「福田流人事」

 戦後初の「総裁空席」という事態となった日銀総裁人事をめぐる混乱を見ていても首をひねることが多い。

「衆院の優越」が担保されていない日銀同意人事は、早くから日切れ法案と並ぶ通常国会の「爆弾」になると指摘されてきた。福田首相も重々承知していたようだ。1月末のブリッジ法案をめぐる与野党攻防を回避し、両院議長あっせんを受け入れたのは日銀同意人事が念頭にあったからだと言われている。

 だが、それならば、なぜ与野党対決ムードがやや収まっていた2月中旬までにさっさと決着しなかったのか。それを先送りしたのは読売新聞が「2月15日提示へ」とスクープし、各紙も一斉に提示時期をかき立てたことに首相が立腹したからだといわれる。

 本当だとしたら福田首相は「たかが新聞」に書かれたくらいで適切なタイミングを逸してしまう愚を犯したことになる。民主党幹部は「2月中旬に政府が人事案を提出していたら、たとえ武藤敏郎副総裁の総裁昇格案であってものまざるを得なかった」と打ち明ける。確かにこの時期はまだ両院議長あっせんの重しが与野党に効いており、武藤氏昇格反対派の急先鋒である仙谷由人元政調会長までも「武藤氏昇格には反対だが、党の決定には従う」と明言していたのだ。

 ところが、2月19日に海自イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故が発生。事故そのものに福田首相の瑕疵はないが、当然野党は批判を強め、日銀人事どころではなくなってしまった。加えて平成20年度予算案の衆院通過をめぐる攻防は日増しに激しさを増していった。

 ここで福田首相は予算案の2月末の衆院通過を決断する。予算案は憲法60条により「衆院の優越」が強力に担保されており、衆院通過後30日間で自然成立する。3月末の年度内成立を確定させるには2月末に衆院通過させるしかないが、ここにも論理矛盾がある。

 ブリッジ法案を断念した大きな理由の1つが日銀人事だったとすれば、日銀人事を片づけずに予算案を強行突破すればどうなるか自明だったはずだ。予算が大切なのは分かるが、成立が4月に多少ずれ込んでもその影響はわずかであり、歳入関連法案の「期限切れ」の方がよほど怖い。しかも予算の裏打ちである歳入関連法案を担保せずに予算を成立させても「絵に描いた餅」になる。

 ついでに言えば、予算案については野党はどういう丁寧な手続きを試みても最後は強行採決に持って行き、その後しばらく「寝る」(審議拒否)ことは間違いなかった。それならば日銀人事を「ダメもと」でも押し込むべきではなかったか。そこで野党がゴネれば「日銀人事を政争の具に使うのか」と逆に牽制に使えたかもしれない。「よもや野党も日銀人事で政局を起こすまい」という淡い期待があったのか。それともイージス艦事故で噴き出した防衛省批判がさらに拡大することを恐れたのか。いずれにせよ結果はますます政権を追い込むことになった。

 結局、政府が日銀総裁候補に武藤敏郎副総裁、副総裁候補に白川方明京大教授と伊藤隆敏東大教授を充てる人事案を国会に提示したのは3月7日だった。福田首相はこの日夜、記者団に「世界経済は非常に変化の多い時期なので十分気をつけて金融政策と経済運営に立ち向かえる人を選ぶことは私の責任です。非常にいい人選をした」と胸を張った。

 だが、この人選も理解に苦しむ。武藤氏は福井俊彦前総裁の金融路線の継承者であるとともにバリバリの財政再建論者だ。伊藤氏は竹中平蔵元経済財政担当相に近いインフレターゲット論者である。これまで竹中氏や中川秀直元幹事長らは福井氏の路線を強く批判してきたことからも分かるように、少なくとも武藤氏と伊藤氏の路線は相容れないはずだ。

 自民党内では与謝野馨前官房長官ら「増税容認・財政再建派」と、中川氏ら「上げ潮派」の路線対立が深刻化している。自民党的にはこの日銀人事は「両派を納得させる仲裁案」かも知れないが、自民党内の路線対立をそのまま日銀に持ち込んだともいえる。市場関係者からすれば「福田首相がどういう金融政策を目指すのかさっぱり分からない人事」(アナリスト)ということになる。その後株価は急落するが、原因はニューヨーク市場の動向によるもので「日銀人事そのものへの株価の反応は鈍かった」(同)といわれる。

 つまり自民党的な「いい人選」は何のメッセージ性もなかったことになる。もし福田氏が、伊藤氏ら「上げ潮派」を固めて起用すれば、良くも悪くも市場に明確なメッセージを示せたはずだ。武藤氏を中心に「伝統墨守型」の人事を固めてもある意味でメッセージ性はあった。

 もしメッセージ性の強い人事案ならば提示段階で株価が上下したはずだ。もし株価が急上昇していれば、民主党も不同意にしにくかったのではないか。仮に不同意にされても強い意志を持って何度も提示すれば、市場の後押しを受け、民主党を窮地に追い込めたかも知れない。

 武藤氏がダメなら同じ財務省(旧大蔵省)出身の田波耕治国際協力銀行総裁という人選はさらに理解に苦しむ。これでは武藤氏へのこだわりが「福井路線の継承」という大義ではなく、財務省と日銀の「たすきがけ人事」にあったことを露呈しているようなものではないか。

「総裁空席」が決まった3月19日夜、福田首相は、旧知の間柄である衛藤征士郎元防衛庁長官らと都内の中華料理店で会食し、「民主党のある方が『武藤さんで結構だ。責任をもって他の党四役は自分で説得する』と言ったんだが」とこぼした。田波氏についても民主党から「武藤氏以外なら財務省出身者でOK」という内諾を得たとされるが、そこまで民主党におもねるならば、なぜ「民主党に具体名を漏らすとマスコミに漏れる」と人事案提出直前まで具体名を隠し続けたのか。

 人事でもっとも大切な「人選」と「タイミング」を見事にはずしてしまった上、無意味な秘密主義を貫く。「福田流人事」はまったく訳が分からない。

◆「生体反応なし」で逆もどり

 ここに来て思い出すのは、昨年9月の総裁選で日本記者クラブが主催した公開討論会の一幕だ。対抗馬の麻生太郎前幹事長が、「私は必要以上の自虐史観は持っていないし、日本は誇れる国だと思っている。今後も誇れる国でありたい」と述べると、それまで愛想を振りまいていた福田首相が気色ばんだ。

「誇れる国はいいですよ。でも自虐史観とかいうように切り捨ててしまうことが問題なのではないですか。問題を解決するのが政治家なんですよ。問題を起こすことが政治家ではないんです!」

「自虐史観」という言葉に「犬猿の仲」である安倍晋三前首相の姿を麻生氏に重ねたのか。中国や韓国に配慮したのか。理由はよく分からないが、討論会を終えた麻生氏は「福田さんは常識的な人だとは思うけど、ちっとも国家観が見えないんだよな…」とぼやいた。

「カラーがないのが福田カラー」といわれるが、餃子中毒事件の中国当局の対応を「非常に前向きですね」と評価し、中国のチベット自治区で起きた騒乱について「双方が冷静に適切な対応を取ってほしい」と述べる゛バランス感覚″をどう評価してよいのか分からない。

 ただ、福田政権になり、人権擁護法案が再浮上したり、文化庁所管の独立行政法人が、映画「靖国 YASUKUNI」(李纓監督)に助成金を出すなど10年前に逆戻りしたような動きが目立ちだした。福田首相の指示とも思えないから、「首相の沈黙」により、安倍前政権で沈黙していた勢力が啓蟄の候を迎えたということだろう。

 そういえば福田首相は平成18年夏に総裁選出馬を見送った際に番記者たちにこう言い放ち、車に乗り込んだ。

「生体反応なしだ。そう書いてくれ」


産経新聞政治部記者●いしばし・ふみと 石橋文登

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