2008年5月31日号の注目記事


 Carbon emissions (United States)
 And the winner is...

 ロサンゼルスといえば、都心部から郊外へと続く高速道路はいつも渋滞しており、車社会の申し子的な空気汚染のひどい都市として知られていた。ところが、シンクタンクのブルッキングス研究所が5月29日に発表した研究報告によると、意外にも同市は全米第2位の「環境にやさしい」都市であることが分かった。

 戦後、ロサンゼルスは他のどこの大都市よりも早く車に頼る社会となった。空気汚染もひどかった。だが、最近は状況がかなり変わっている。同報告書によると、全米の大都市の高速道路における交通量と家庭でのエネルギー消費量に伴う炭素排出量を計算した結果、最も炭素排出量が少なかったのはホノルル(住民1人当たりの年間排出量は1.36トン)で、次いでロサンゼルス(同1.41トン)だった。「究極の環境にやさしい街」を自認していたニューヨークは4位だった。最悪だったのはケンタッキー州のレキシントンだ。

 ロサンゼルスが予想外に健闘したのは、気候と大いに関係がある。炭素排出量の最も少ない都市が西海岸に集中しているのだ。太平洋から吹き込む涼しい風が、夏の冷房費を減らす効果をもたらしている。反対に夏場に暑く冬は厳しい内陸部のオハイオ州のシンシナティやワシントンでは、どうしても電力消費量が多くなる。また、石炭に発電の多くを頼っている中西部の都市も成績は悪い。ロスは新しい環境法が施行されることになっているので、成績はさらに良くなるだろう。


 Lexington (United States)
 Raising the Barr

 米国大統領選挙はいつも民主党と共和党の間で大接戦を演じているが、今回も第3の政党の自由党(1971年に創立され、個人の権利を強調する政党)が大統領候補を擁立することになった。同党は1980年の大統領選挙では92万票以上を集めた実績がある。全体の票数からみれば、わずか1.1%に過ぎないが、2000年のブッシュとゴアの大接戦を考えると無視できない存在である。とくに候補者のボブ・バーが2003年までジョージア州選出の共和党下院議員であったことを考えると、共和党のマケイン候補にとってはあなどれない。

 バー氏は気難しい性格と、かなりユニークな政治行動――クリントン大統領の弾劾を訴えたり、反テロ法を骨抜きにしようとしたり、同性婚を禁止する州法の推進をしたり――を取ることで知られている。

 自由党は、今回の大統領選では48州で挑戦することを明らかにしており、バー氏は共和党のマケイン氏の票を食うものとみられている。というのは、共和党のブッシュ大統領が、かなりの国家予算を消費する政策を数多く遂行していることから、「小さな政府」を志向する共和党支持者の票を集める可能性があるからだ。もちろんジョージア州の票はかなり集めることだろう。バー氏は「全投票数の6〜8%は集める」と意気軒昂だ。


 Thailand (Asia)
 Protests and coup rumours return

 2006年9月の軍事クーデターでタイのタクシン首相が追放され、16カ月間の軍事政権の後、民主政権が今年1月に誕生したばかりだというのに、また巷では軍のクーデターの噂が広がっている。原因はタクシン派のサマック首相が、軍事政権が作った憲法に従わないで、改憲するための国民投票を実施しようとしているからだ。

 5月25日に反タクシン派の市民団体「市民民主連合」(PAD)が、首都バンコクで数千人規模の反政府街頭活動を展開した。これに対しタクシン派も呼応し、双方でペットボトルの投げあいなどが行われる騒動が起きた。反タクシン派は今後も街頭活動を活発化する計画で、政情が騒然としそうだ。こうした動きの背後には軍が関与しているとの噂がある。

 今のところ、軍部は「クーデターなど考えていない」と否定しているが、前回のクーデター時も最後までそうした動きを否定していた。現政権が国民投票に熱心なのは、このままでは昨年12月の総選挙で投票操作をしたとの告発を受けて与党が解散させられる恐れがあることと、汚職の告発を受けているタクシン氏に関しても強力な調査団を組織しなければならないためだ。いずれにせよ、現政権は国民投票を実施する方向で動いており、危機は高まりつつある。


 Japan and Africa (Middle East & Africa)
 Catching up 

 5月28日から、日本は4年に1度のアフリカ開発会議(TICAD)を40カ国の首脳を集めて開催した。アフリカへのアプローチとしては、すでにこのような会合を開催している中国やインドの後塵を拝した形だが、遅きに失するといっても何もしないよりましともいえる。中国がニッケルやタングスティンなどの鉱物を自国の生産に回す傾向が強まっている今日、アフリカとのコネクションは一層大事になっている。

 その意味で、今回の会合は支援というよりもアフリカの天然資源に焦点を絞ってのものであった。福田首相もそのことを「この会議がアフリカ成長への引き金となる」と期待を表明した。会議では2012年までにアフリカ向け政府開発援助(ODA)の倍増を約束し、有償資金協力も5年間で40億ドル供与することを打ち出した。しかも、こうした資金はひも付きでないとしている。



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