共産主義国ベトナムでは、これまで新聞などメディアに対して「汚職の告発」をするよう奨励してきたが、最近は雲行きが怪しくなってきた。これに対し、新聞は抵抗を続けている。
公務員の汚職については「無制約の」告発をするよう促してきたのは共産党の指導者たちである。こうした告発は、2年前には運輸省での汚職事件――サッカー賭博で公的資金75万ドルを当局者が流用した――の摘発につながり、運輸副大臣が逮捕された。今年2月にも、こうしたマスコミの活躍は「人民の要求」を満たしてきたと、汚職問題に厳しく対応してきた共産党のノン・ドゥック・マイン書記長が賞賛したばかりである。
ところが、流れが変わってきた。逮捕された副大臣への容疑が取り消され、逆に汚職を報道した2人の記者が、偽りの報道をしたとして逮捕された。また、ネタ元だった2人の元警察官が「権限の乱用」で逮捕されるという事態に発展した。だが、記者の所属している新聞社二社は、前例のないほどの抵抗を示している。「記者を解放せよ」との論説を掲げ、読者からの支持の声が殺到していると伝えている。そして、報道が誤っているならば過去2年間に警察や検察当局がまったくそれを指摘してこなかったと反論している。
こうしたことは、より大きな汚職につながる危険性があったとか、政権内部の改革派と守旧派との闘争とか、さまざまな憶測を呼んでいる。