2008年5月17日号の注目記事


 Drug violence in Mexico (The Americas)
 Can the army out-gun the drug lords?

 メキシコでの麻薬ギャングと警察、軍当局との「麻薬戦争」が熾烈さを極めている。今月に入って1週間で警察幹部が4人も射殺される事件が起きており、その他にも100人以上が麻薬関連の事件で殺されている。同様な組織犯罪とのかかわり合いの中で、1,100〜2,500人が殺害されたとも言われており、いわば異常事態だ。

 こうしたことの原因の1つは、取り締まる側の警察そのものが腐敗して、一部が麻薬ギャングとつながっていること。今回の警察幹部の殺害にも、別の警察幹部が関わっていた。これでは麻薬組織の根絶は期待できないことから、カルデロン大統領は、1年半前に軍隊に呼びかけて「麻薬戦争」に当たらせることにした。

 今週、殺人事件が多発しているシナロア州に2,700人の政府軍と警察部隊を投入することにしている。今や軍隊はメキシコ国内全域で麻薬の取り締まりに当たっており、当初は警察組織の改革までの一時的な措置と考えられていた軍隊の取り締まりも、恒常的な姿になりつつある。もっとも、こうした軍の圧力が効を奏したのか、麻薬組織内部の抗争事件を招き、死者が急増した背景となっている。


 Buttonwood (Finance & Economics)
 Crude threat

 原油高が留まるところを知らない。少し前までは1バレル100ドルになるなどと言うと、「災厄を予言する人」などと揶揄されたものだが、今や1バレル200ドルにすら達するとの観測も現れており、人々は深刻に受け止めている。だが、石油が高騰している割には、かつての石油ショックの時のようなパニックは起きていない。

 エコノミスト誌はその原因として、1.先進国が石油消費を以前よりは効率的に行うようになってきた、2.石油の価格上昇が突然起きたのではなく、じりじりと上がってきたので、対処する時間の余裕があった、3.価格高騰は世界経済が拡大しているために起きているので、直接的に経済に打撃を与えているわけではない――などを挙げている。

 だが、世界経済に対する影響力もゆっくりとしたペースではあるが、いずれ出てくる。さまざまな商品価格の値上げ、利益の減少、失業率の増大などだ。徐々にそうした兆候が出始めているので警戒が必要だ。


 LED street lights (Science & Technology)
 No smoke or mirrors

 ノスタルジックな光を放つガス灯を、最新技術の発光ダイオード(LED)を使った街灯に一新しようとの計画が、ドイツのデュッセンドルフ市で持ち上がっている。環境にはやさしい技術だが、まだ採用しているところは少なく、同市の試みはLEDの街灯への流れを加速するかもしれない。

 同市には、旧市街地に1万7000本のガス灯が設置してあるが、計画ではこのうち1万本をLEDに取り替えるという。現在、2ダースの街灯で実験を行っている。当初はLEDは高くつく可能性があるが、在来型の電球と比べると、信頼性が高く長持ちするという。

 だが、LEDには欠点もある。同じワットで比べると、光の発生では蛍光灯やナトリウム灯の方が優れている。だが、LEDの技術は年々向上しており、この問題も数年以内に解消されるとみられている。LEDの光は制御できるので、広範囲に光が広がる普通の電球と違い、スポットライトのように必要なところに光を当てることが可能という。もっとも、LEDの白色光は「冷たい」との市民の批判もあることから、LEDの発色技術を使って昔のガス灯に近い光を作り出す予定という。


 Lexington (United States)
 Why not both?

 民主党の予備選挙で死闘を演じているヒラリー氏とオバマ氏だが、オバマ氏の優勢が覆せなくなっている今日でも、ヒラリー氏は闘い続けると公言している。こうした中、いっそのこと、オバマ氏とヒラリー氏で正副大統領ペアを作ったらどうかとの声も民主党内では熱心にささやかれ始めている。

 ヒラリー氏のプライドが、オバマ氏の大統領の下で働くことを許すかどうかは別として、この選択肢のプラス面とマイナス面について、エコノミスト誌は論じている。プラス面から言えば、ヒラリー氏は女性票を引きつける力が確かにある。しかし、これは民主党の中核をなすグループで、共和党のマケイン氏には流れにくい。問題は白人のブルーカラー層をどう取り込むかだ。その意味では、必ずしもヒラリー氏がプラスには作用しない。むしろ、ヒラリー氏と組んだ場合、マイナス面の方が大きい。なぜならば、オバマ氏は「変革」と「希望」のメッセージを訴えてきており、古い政治体質を持ったヒラリー氏ではメッセージ性が弱まる。また、元大統領も副大統領公邸に住むことになるわけで、政治が混乱する危険性の方が大きい。



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