2008年5月3日号の注目記事


 Drug trafficking  (The Americas)
 Waving, not drowning

 米国国内への麻薬の密輸入は、メキシコと南米コロンビアの2国のマフィアが競い合っている。当然、米国の監視体制も厳しくなっている。しかし、競争が激烈になるに従って、密輸の方法もますます巧妙になってきた。軽飛行機を使って、船荷としてなど、あの手この手を駆使している。ついに最近はグラスファイバーで潜水艦を建造し、それに載せて運搬するようになった。

 コロンビアのマフィアの手によるもので、乗組員は4人。半潜行型で、中に2〜3トンのコカインを収納できる。燃用タンクが大きく、外洋に出て3,200キロまで航行できるというから大変なしろものだ。陸揚げではなく、近くに来て高速船に載せ替えるようだ。最初にお目見えしたのは10年ほど前。だが、実際に使われだしたのはつい最近で、毎月10隻あまりが発見、捕獲されている。だが、なかなか見つけにくいと言い、今後は監視当局の麻薬戦争も、対潜水艦作戦を余儀なくされそうだ。


 Canada (The Americas)
 Not on our roads

 これだけ原油高になると、環境にやさしい電気自動車など引っ張りダコのような感じを受ける。当然、政府としてもこうしたメーカーの生産を奨励するような政策を打ち出すだろう。ところが、この分野で先導的な役割を果たしてきたゼン・モーター社やダイナスティ社などのメーカーがあるカナダでは全く事情が違う。カナダではこうした車の路上走行を認めていないのだ。

 電気自動車は、大学のキャンパス、軍隊の基地内、公園など、特定の制限された区域内でしか走行できない。カナダ運輸省は、理由として電気自動車の安全性に疑問があるとしている。大型トラックなどとの衝突時に、車体が軽いため跳ね飛ばされてしまうというのだ。衝突実験でもあまりいい結果が出なかったとしている。

 これに対し、米国では44州で走行が認められている。したがって、ほとんどの生産車が米国向けに輸出されている。電気自動車の難点といえば、さほど速度が出ない点。せいぜい時速50キロぐらいだ。だから、都心部の時速制限の厳しい地域なら、全く問題はなく走れる。カナダの電気自動車メーカーは苦戦をしいられており、3月にはダイナスティ社がパキスタンの会社に買収されてしまった。今後は、カラチに生産拠点を移すという。ただ、カナダのこうした規制は、現在のハーパー保守政権がアルバータ州など石油生産地域の支援を受けているからだとの指摘もあり、自動車関係者は「陰謀のにおいがする」とも言っている。


 Malaysia (Asia)
 The winds of change

 マレーシアで政治に変革の風が吹き始めている。3月の総選挙で、政権の座にある与党連合が手痛い衰退の結果を受け、野党勢力を束ねているアンワン元首相の下に与党連合から30人ほどの議員が鞍替えを検討し始めた。このことから、アンワン氏は議会多数を占めることに自信を深めている。これまで同国では独立以来、与党連合が半世紀の長期政権を維持してきた。政権の交代などは夢のこととされてきたが、これが今や現実味を帯びてきた。

 アブドラ首相は、与党内で高まっている辞任要求をかわすため、与党連合の総会を延期して12月に開催するとし、その時にナジブ副首相と政権の禅譲を話し合うとしている。

 ともあれ、選挙結果は遅まきながらもアブドラ氏にこれまで公約してきて実行しなかった政治改革の尻をたたく効果はあったようだ。それは、職についた5年前に約束したもので、政府内での腐敗の一掃、特に警察や汚職監督機関などに対して行うとしている。また、弱体化している司法制度の改革も行うという。これは、20年前のマハティール首相時代に憲法改正して司法権の独立を奪ったために起きたことだ。また、表現の自由も回復されることになり、新聞社に対する規制も緩和されるようだ。もっとも、こうした動きもアンワン氏が9月ごろまでに十分な与党議員の鞍替えを獲得することになれば効を奏さないことになる。



EIS「英国エコノミスト日本語オンラインサービス」会員様は、エコノミストの運営するサイト「Economist.com」の英字記事がすべてご覧いただけます。

Copyright©EIS,Inc.2008 All rights reserved.