2008年4月12日号の注目記事


 The Olympic flame (Asia)
 Torch song trilogy

 北京オリンピックの聖火リレー騒動は、今週、欧州から米国へと渡り、拡大の一途を続けている。せっかく国威発揚を目論んでいた中国にとっては、全く正反対の結果を生み出す破滅的な聖火行脚となりそうだ。

 4月6日、ロンドンでの聖火リレーは、何百人もの抗議者に迎え入れられた。これに対し中国側も数百人の中国人留学生をバスで送迎して対抗策を演じた。特に悪名高かったのが聖火を囲んだ青と白のユニフォーム姿の中国人警備隊で、その横暴な振る舞いは、英国のオリンピック関係者から「凶悪犯」と呼び捨てられるほど。多くの市民の反感をかった。これに対し中国のニュースは、彼らを「勇敢で英雄的」と称賛し、英国のマラソン選手の抗議者を支援する発言もその部分だけカットして報道したとエコノミスト誌は伝えている。

 この騒動の影響は一般市民にも及んでいる。シェフィールド市で、チベットの旗を窓に貼っていた人の家では、2人の中国人留学生が抗議に訪れ、夜中に窓が壊された。こうした事件は、中国に対する恐怖心を植えつける逆効果を生んでいる。


 Security for the Beijing Olympics (Asia)
 Orange is not the only protest

 北京オリンピックが近づくにつれて、中国の警備関係者はさまざまに持ち上がってくる問題で頭を悩ましている。それは、直接的なテロ攻撃というよりも、間接的な問題である。1つには観客の服装の問題がある。何でもなさそうな観客がチベット独立と書かれたTシャツを上着の下に着込んでいることが考えられる。活動家たちは、規制が厳しくなることを見越して、人々に単なるオレンジ色の衣服を着るよう勧めている。3月2日には、上海でアイスランドの歌手ビヨークが、公演の中で「独立を宣言せよ」という歌を歌い、最後に「チベット、チベット」と叫ぶ事件が起きた。その後、文化省は外国人アーティストの規制を強化したという。また、名高い中国人の人権活動家も逮捕した。4月3日に3年半の実刑判決を下した。

 中国では食料品が高騰しており、人々の不満も高まっている。12月には「改革開放」政策30周年を迎えるが、知識人階級の中では政治改革についての議論も高まっている。その反面、チベット問題では、西側のマスコミがチベット寄りの報道をしているとして、数人のジャーナリストが殺すぞとの脅迫を受けたと伝えられており、国家主義の高まりも心配されている。


 South Korea  (Asia)
 Rites of spring

 韓国の総選挙が4月9日に行われた。先日、大統領に選出された李明博氏の与党ハンナラ党が過半数(150議席)ギリギリの153議席を獲得して辛うじて過半数を維持した。薄氷を踏む勝利で、「ブルドーザー」の異名を取る李大統領は早くも前途に難問を抱えた形だ。(もっとも、日本のマスコミは「大統領の政権基盤が強まり、国政運営は安定しそうだ」と正反対のことを書いている)。事前の予想では大差で勝つとされていたが、投票率も46%と、国民の関心の低さを示している。

 李大統領は、閣僚予定者に対する疑惑事件や、李氏の政策に反対するといった波乱含みの展開でスタートした。李氏は、韓国の国営企業の民営化、私立学校の推進、減税、規制緩和など、急進的な政策課題を提示している。政権基盤が決して強くない現状では、与党議員以外から支援を受けなければならない事態になりそうだ。


 Doing business in China (Business)
 850,000 lawsuits in the making

 かつて中国は知的財産権とは無縁の国家とみなされてきたが、最近はこうした状況も変わりつつある。中国企業の間で、特許に関する訴訟が盛んになってきた結果、知的財産権に対する考え方が変わってきたのだ。

 毛沢東の時代では、私有財産権は否定されていた。ようやく1985年になって特許権を保護する法律が制定された。だが、実際に強権でもって実効に移されたのは、WTOに加盟するようになった2001年からである。以来、特許を専門に取り扱う法廷も50カ所設置された。国内企業も積極的に訴訟に持ち込むようになってきた。ちなみに、2003年から5年間で、商標登記件数が60%増えたし、特許件数も85万件と倍増している。また、知的所有権を巡る訴訟件数も倍増している。政府もこうした傾向を奨励している。

 米国では訴訟の裁定費用が高いため、往々にして法廷外での話し合いで解決を図るケースも多いが、中国では裁定費用も安く、訴訟が増える結果につながっている


 Journalism in France  (Europe)
 Pipol power

 印刷メディア媒体、なかんずく全国的な新聞はフランスでも減少傾向にある。経営が苦戦をしいられている。2000年から6年間でフランスの新聞と雑誌の売り上げは10%減少している。広告収入は20%も減っており、政府の補助金にもかかわらず経営はかなり苦しくなっている。フランスの有名な新聞ルモンド紙は、経営難から130人の解雇を発表。4月14日には労働組合がストに突入することにしている。

 こうした新聞業界の苦境を尻目に、活況を呈しているところもある。週末に発行するニュース週刊誌だ。ル・ポワンは8%の伸びを示し、パリ・マッチも9%の伸びとなっている。この現象は、週末になると、人々が時間を持て余し、日曜日の新聞は薄いのに週刊誌は読み応えがあるということらしい。

 特に、昨年は大統領選挙の年でもあり、サルコジ氏とロワイヤル氏の2人の候補者の争いで週刊誌をにぎわしたことなどが挙げられている。また、サルコジ大統領は、私生活でも、離婚、元トップモデルとの結婚など話題も多い。フランス語では、セレブのことを「pipolisation」と呼ぶが、こうしたセレブの動きが人々の興味をひきつけている。



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