トルコの法廷が、過去5年にわたり政権を握ってきた政党を政治の場所から締め出すかもしれない。この異常ともいえる事態を招いているのは、トルコの検察当局が憲法裁判所に対し、「国是の政教分離を侵している」としてイスラム系の与党・公正発展党(AKP)の解党などを求めて提訴。憲法裁は3月31日に、これを全員一致で受理したもの。提訴の中では同党出身のエルドアン首相など70人の幹部に対する5年間の政治活動の禁止も求められている。
民主国家としては、いかにも異常な気がするが、トルコはケマル・アタテュルクが建国した1920年代から、政治は世俗主義で行われることになっている。10年前にもAKPの前身の福祉党が同じような目に会った例がある。
しかし、今の政権は、過去に世俗派の政権がなしえなかった素晴らしい実績を挙げている――軍隊の文民統制、安定した高度経済成長の達成、刑法の近代化、クルド人などの少数民族や女性に対する権利付与――などである。その上、これまで40年間、誰も成し遂げ得なかったEUへの参加の糸口をつけた事などが評価され、昨年7月の総選挙では、地すべり的な大勝利を博した。だが、逆にこうした成功が、軍や世俗派の反感を買った。エコノミスト誌は、憲法改正を提唱しているが、今後の成り行きが注目されている。