2008年3月29日号の注目記事


 Wolves (United States)
 Fair game now

 日本ではオオカミは、すでに100年前に絶滅しているが、米国では絶滅の危険を逃れたようだ。3月28日に、米国ロッキー山脈に棲息する灰色オオカミが、「棲息頭数が持続できるレベルに達した」と認定され、政府の保護措置下からはずれることになったのだ。

 だが、ここに至るまでには種類保護の長い苦闘の歴史があった。米国でも、西部開拓者が未開地に入り込み、多くのオオカミを捕殺したために、絶滅の危機に瀕したことがある。80年前には、この地域では全く確認できなくなった。1973年に法律が制定され、イエローストーン国立公園地域にオオカミが再導入され、最近になってようやく1,500頭にまで増えたことが確認された。オオカミの群れは、アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州の3州で今後5年間は監視されていくとのことだ。ただ、狩猟競技の場合と、家畜やペットなどを襲った場合には、射殺することが認められており、一部の自然保護団体は「大量に死ぬ可能性がある」と、これには反対している。もっとも、家畜を襲うのは、コヨーテの方が20倍も多いと、当局は反論している。


 Britain and America  (Britain)
 Anglo-Saxon attitudes

 米国と英国と言うと、歴史的な成立過程からみても、価値観を共有する仲の良い兄弟国家と目されてきた。特にイラクへの侵攻に関しては、主として両国で作戦を遂行したもので、その意味でも共通の基盤に立っていると見られている。そこで、今月、エコノミスト誌は、両国の調査会社を通じて双方1,000人を対象にアンケート調査を実施し、両国の考え方の相関関係を調べた。その結果、かなり興味深い事実が判明した。

 宗教観、社会的価値観など、大きく6項目に分けて聞き取りをしたのだが、両国の間では、かなりの意見の食い違いがあった。特に宗教観に関しては、英国では無神論に近い考え方をする人が多かったのに対し、米国では極めて信仰心が篤いことがわかった。堕胎、婚外セックス、同性間セックスなどの是非についても両国で大きな隔たりがあった(英国は左派的な意見が多く、米国は右派的な意見が多かった)。少し重なり合ったのは、軍事力の行使や、国家の役割などに関してであった。また、意見の幅も、英国では左右間でさほど大きくなかったものの、米国では意見の振幅が大きかった。


 Ecotourism and economics  (Finance & Economics)
 Shellshock

 南米エクアドルの沖合にあるガラパゴス諸島といえば、チャールズ・ダーウィンの進化論で有名だ。ところが、最近はこの島が年率10%と、世界でも最も経済成長率の高い地域となってしまった。というのも、環境保護を名目にした観光業が盛んになり、多くの観光客を惹きつけているためだ。近くカリフォルニア大学の数人が同島の環境保護と経済発展の関係について報告書を発表することになっている。

 島の自然保護政策は、本国のエクアドルが1999年に経済破綻して以来、多くの移住民が本国から渡ってきたため、大きく変わってしまった。大量の移住民で人口は、1999年から6年間で60%も増えてしまった。飲み水の供給や下水処理施設、生ごみの処理などに大きな負荷を課している。だから、GDPは増えても、1人当たりの成長率となると、わずか1.8%と低くなる。島周辺の水産業が大きく発展し、漁船の数も倍増したが、法律を犯して漁業する者も後を絶たない。こうしたことが、島の自然に悪影響を及ぼすのではないかと心配されている。ちなみに、3人の自然観察の観光客が増えると、3,000ドルを島に落とす計算で、1人の移住者を産むようだ。


 Canada  (The Americas)
 Angry Anglicans

 一般的にカナダの人々は、リベラルな思想の持主が多いことで知られている。こうした傾向が、最近、同国の宗教界に激震をもたらしている。英国からの移住者が多い同国西側では、英国教会系の教会が多く設立されている。2002年にバンクーバー近郊のニューウェストミンスター司教区が、世界で初めて同性婚を教会として認める決定を行った。これに対し保守派の主教たちは「聖書の中には同性婚を厳しく非難している部分が数か所ある」として反発。

 昨年、これに追い打ちをかけるようにカナダ英国教会の最高行政機関が総会で「同性婚は教義の中核には抵触しない」との決議をしたことから、国内の保守派は脱退を決意した。ついに先月には保守派の教会で別組織を作る事態にまで発展してしまった。

 今や、この分裂の動きは他国にまで波及している。今年7月には、英国のカンタベリーで年に1度の英国教会の全主教が集まっての会議が開かれる予定で、ここでこの問題を話し合うことになっているが、果たして分裂を防ぐことができるのか注目されている。


 Salsa dancing  (The Americas)
 Selling rhythm to the world

 南米やカリブ海の産物といえば、コーヒーとかバナナと相場が決まっているが、近年は文化的な輸出品が大きく成功をしている。「サルサ」と呼ばれる踊りがそれで、1920年代のタンゴや、1950年代のロックなどにひけをとらないほどの世界的な大流行となっている。今や欧州のほとんどの都市でサルサの踊りを教える教室があり、繁盛している。特に英国、ドイツ、スカンジナビア諸国では熱狂的である。また、日本のほか、インドや中国でも流行り始めている。

 サルサはいろいろな要素がミックスされて出来上がったようだ。もともとは米国内のプエルトリコ移民やキューバの亡命者たちが1960年代から踊っていたものが、南米に逆輸入されて発展した。海外に大きく発展したのは1990年代に入ってからだ。観光客の外貨を獲得したいこともあり、特にキューバは熱心だ。「レディーサルサ」というミュージカル仕立ての興行を、世界中で行い、大ブレークした。今や首都のハバナにはサルサを教わりに来るツアーも多く、英国、欧州、日本などの客で賑わっている。



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