2008年3月15日号の注目記事


 Taiwan (Asia)
 Where a common market is divisive

 台湾の総統選挙が今月22日に行われるが、与党の民進党と、野党の国民党の2人の総統候補者が、中国に対する経済開放の積極策を巡って火花を散らしている。

 与党は、中国との間にあった規制措置の緩和を図ってきた。中国本土からの観光客について、国際的なクルーズ船に乗って訪れる観光客には門戸を開放したほか、台湾人と結婚した中国人については台湾内で働く権利を与えることになった。また、中国に対する投資も規制を緩和した。これに対し、国民党はさらに踏み込んでいる。公約の中で、EUの市場にならった「大中国市場」を提案し、商品と労働力の流入を自由化するとしている。民進党は、この政策は「1つの中国」の市場だとし、「中国に降伏することと同じだ」と決めつけている。また中国の商品と労働者がドット入り込んできて物価高や失業を招くと主張している。

 この攻撃が功を奏しているのか、最近の世論調査では、圧倒的に優勢だった野党候補者との差が詰まってきている。


 Yahoo!'s options  (Business)
 Deconstructing Jerry

 マイクロソフトから買収提案を受けているヤフーのジェリー・ヤン社長は、どのような選択をするのか、世間の注目を集めているが、まだ最終的な決断は少し延びそうだ。

 先月、マイクロソフトからの提案を受けた後、同社長は他に選択がないのかの模索をした。まずはニュース・コープ社のルパート・マードック氏に当たった。同社は世界最大のSNS、マイスペースを所有している。だが、マードック氏は、現在は専ら買収したばかりのダウ・ジョーンズ社に取り組んでおり、また資金の豊富なマイクロソフト社と戦争をする気はなかった。そこで、ヤフーと似た企業であるAOLを所有しているタイム・ワーナー社との提携を模索している。インターネットのライバル社であるグーグル社は、AOL株の5%を所有しており、この提携を通してグーグル社とも協力関係ができる。(もともとグーグル社の創業者たちは、ヤン氏のスタンフォード大での後輩で、同氏は本当の敵はグーグルではなくマイクロソフトだと考えている)。

 問題はこうした選択肢が、マイクロソフト社の提案ほどの資金を産まないことだ。他の選択肢では、ヤフー社の株主たちが同意してくれない可能性が高い。そこでヤン氏は今月14日の回答期限を少し延ばしてくれるように申し込んだ。もっとも、結論的にはマイクロソフトの軍門に下るしかないのではとの観測が強い。


 Adam Smith  (Britain)
 Monumental profits

 「国富論」の著者で、近代経済学の祖とも言えるアダム・スミスが住んでいたスコットランドの首都・エディンバラの家が売却されることになった。ところが、市内の新聞には17世紀の歴史的な建造物が70万ポンド(140万ドル)で売却されることは載っているものの、アダム・スミスがここに亡くなるまでの1778年から12年間を過ごしたことには一言も触れていない。それどころか、同市に存在する墓地も、つい最近まで篤志家の寄付で清掃されるまで荒れ放題だったという(現在でも一寸眼にはなかなか見つけにくいらしい)。こうした、人々の故郷の偉人に対する無関心ぶりは、スコットランドの政治風土に原因があるのかもしれない。この地はもともと左派的な思想傾向があり、保守派が崇めるアダム・スミスは疎んじられている。

 しかし、最近はこうした風潮にも変化が現われている。労働党のゴードン・ブラウン首相の選挙地盤の中にアダム・スミスの生誕地が含まれているためだ。最近、エディンバラ市はロンドンのアダム・スミス研究所が、同市の墓地に銅像を建てることを承認した。もっとも家の方は民間に売却されるので、歴史的建造物として残るよりも、多くの「利益」を産むのかも。


 Colombia and its neighbours  (The Americas)
 Peace in our time, on the box

 コロンビアのゲリラ組織・コロンビア革命軍(FARC)が隣国のエクアドル国境内に構築していた基地を、コロンビアが勝手に空爆してゲリラ指導者を殺害したことから、コロンビア、エクアドル、ベネズエラの3国間で戦争が勃発しそうな事態になっていたが、3月7日にコロンビアが謝罪したことで、急きょ危機が回避された。

 和平会議はドミニカ共和国の首都、サント・ドミンゴで行われた。コロンビアのウリべ大統領が、エクアドルに対し主権を侵害したことを謝罪し、「戦争」を口にしていたベネズエラのチャベス大統領が、一転して両国をなだめる演説をした。しかめっ面をしていたエクアドルのコレア大統領も敵対関係を終結させることを宣言した。これで、一応危機は回避されたものの、3国が心からの和解をしたとは、とても思えない。

 特に強硬派のベネズエラが急きょ和解に転じた背景には、ゲリラ側から押収したパソコンの中に、ゲリラとベネズエラ、エクアドルとの緊密な連携関係や、チャベス大統領が多額の支援金を出していた証拠が記載されていたからだという見方がある。こうしたことが国際法廷に提出されたり、国際的に暴露される事態を避けようとしたというものだ。いずれにせよ、根本的な問題解決までには、まだ時間がかかりそうだ。


 Tourism  (United States)
 Bargain-hunting

 景気後退に伴い弱いドルが国際的に問題となっているが、その反面、米国内で活気を帯びている業界もある。旅行、観光業界だ。弱いドルがリゾート地や観光名所の料金を実質的に割安にしていることで、多くの観光客を呼び込んでいるのだ。

 今週、商務省が発表したところでは、昨年1年間の旅行業界は、前年に比べ2倍の剰余金1780万ドルを計上した。外国からの旅行客も増えている。カナダが11%、メキシコが13%と増えたのを始め、欧州やインド、中国からの観光客も増えている。業界の輸出の中に占める割合も、8%となり、自動車の輸出よりも多くなっている。

 米国内でも弱いドルと石油の高騰の影響で、旅行を国内ですまそうという人々が増え、国内の旅行業者は大繁盛だ。もちろん、1番賑わっているのは観光名所のマイアミやニューヨーク。昨年は、海外からの観光客が実に22%も増加した。それに伴って観光客がもたらす商品の売り上げも増加。アイポッドなどの電化製品、衣類、靴などのほか、ホテルの売り上げも上がっており、みなホクホク顔だ。



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