2008年3月8日号の注目記事


 Iraq and Iran (Middle East & Africa)
 Big brother comes to town

 イランのアフマディネジャド大統領が、イラクを訪問した。米国がイラクに侵攻して以来、5年間で初めての外国首脳の訪問である。最近、イランからイラクへは、メロンから冷蔵庫に至るまで、さまざまな生活物資が輸出されており、貿易高も20億ドルに達している。今回の2日間のアフマディネジャド大統領の訪問で、同大統領は「兄弟国」を強調し、「どこかの国の大統領のように、ヘリコプターで隠密裏に訪問するようなことはしない」と、ブッシュを皮肉った。

 もともと、イランとイラクは、1980年代に8年間の戦争を交えており、双方で100万人の犠牲者を出したといわれている。だが、その後、関係は修復し、いまや隣国として最大の影響力を持つまでにいたった。今回の訪問で、同大統領は貿易協定を結んだほか、10億ドルの借款を提供することになった。

 米国は、イランはイラク国内のシーア派民兵に武器や爆弾を供与していると非難している。イランはこれを否定しているが、最近もイランで訓練を受けてきたイラク民兵が米軍に捕まるなどの事例があり、関係は否定できないようだ。


 NAFTA  (The Americas)
 An unreliable ally

 米国民主党内のクリントン氏とオバマ氏との間の大統領予備選が過熱するなかで、隣国のメキシコとカナダが両候補の演説に神経をとがらせている。というのも、2人とも左よりの党員の人気取りをしようと、北米自由貿易協定(NAFTA)への批判の弁を強めているからである。両候補とも、労働や環境面での条項を厳しくし再交渉すべきであると主張、保護貿易的色合いを鮮明にしている。

 同協定は1994年に締結され、国境を越えた貿易を増進、投資を増やし、3国間の経済発展に大きく貢献している。特にメキシコにとってのメリットは大きく、経済面での安定が図れた。また、この協定がなければ米国への不法移民がもっと増えたとみられている。

 問題は、両候補が同協定を選挙演説の大きなテーマとしてヤリ玉にあげていることだ。選挙の過熱が、米国内での保護貿易的な雰囲気を増長させ、外国人嫌い的な風潮を蔓延させることにならないか、懸念されている。


 Shipping  (business)
 Heavy weather

 昨年は、世界の造船業界にとっては、これまでにない最良の年だった。中国経済の旺盛な食欲に伴い、業界では船の建造ラッシュだった。香港証券市場に上場しているパシフィック・ベーシン社とジンフイ・ホールディングス社の株価は、2006年の半ばから約1年間で5倍に上昇した。また、船の値段も跳ね上がり、2001年に3100万ドルで建造された貨物運搬船が、昨年はその5倍の値がついて売れた。

 しかし、今こうした造船業界のフィーバーぶりにも陰りが見え始めた。3月3日にパシフィック・ベーシン社は、昨年の実績を発表。数字は利益が対前年で328%、4億7200万ドルと相変わらずいいのだが、株価の方は昨年11月をピークに逆に30%も下がってしまった。ジンフイ・ホールディングス社の場合はもっと下がっている。さらに悪い事に、同社は今年1月に造船契約を解消したことで400万ドルの損失を出した。これは、米国の景気後退の影響といわれている。だが、ここ数年間の造船ブームで供給過剰となり、需給バランスが崩れだしたことも大きな原因だ。造船業界の前途はかなり厳しくなりそうだ。


 Porsche and VW  (Business)
 In the driving seat

 スポーツカー・メーカーのポルシェが、フォルクスワーゲンの買収にかかっている。3月3日に、ポルシェ・ホールディングスの取締役会は、フォルクスワーゲン株を現在の31%からさらに20%買い増しすることに決定したのだ。ポルシェ・ホールディングスの大株主であるフェルディナンド・ピエヒ氏は、フォルクスワーゲンの会長でもあるが、その数時間前にスェーデンのトラックメーカー、スカニア社株の買い増しを決め、占有率を31%から68%にまであげた。その結果、ポルシェ・ホールディングス傘下で年間760万台の車が生産され、売り上げも年間200億ユーロに達するものとみられる。市場は、欧州、アジア、南米に広がる。

 ポルシェ・ホールディングスは、フォルクスワーゲンの株価操作で、この1年間で45億ユーロの利益をあげており、資金は豊富だ。後はどんな株主にも投票権を抑えているドイツのフォルクスワーゲン法をクリアするだけ。昨年10月に欧州裁判所は、ドイツにこの法の廃止を求めている。今後、ポルシェ・ホールディングスは、効率のいい会社に変革していくとしている。労使協調を基本に置いてきた同社の社風も変わりそうだ。


 After Texas and Ohio  (Leaders)
 The Democrats' nightmare

 ミニ・スーパーチュースデーといわれた3月4日のオハイオ州とテキサス州での予備選を制し、民主党の大統領候補者としてクリントン氏が息を吹き返したことから、オバマ氏とのデッドヒートはどうやら最後までもつれ込みそうだ。問題は「スーパー・デレゲート」と称される党幹部の796票の行方だ。

 この票は、白人が多数を占め、クリントン氏に近いといわれてきたが、初の有力黒人候補者で先頭を走り続けているオバマ氏に対し、党員多数の選択を覆すことは可能なのだろうか。また、オバマ氏は無党派層にも強いし集票能力がある。

 一方、クリントン氏はフロリダ州の代議員票をもっている。同州は党の規約に反し、早い段階での予備選挙を勝手に進めてしまった。選挙は実施されクリントン氏が勝ったものの、党から代議員票は剥奪されてしまった。クリントン氏はフロリダ州の票の復活を求めている。この問題をどう処理するかも頭痛の種だ。党は「規則は規則」としているが、米国で4番目に人口が多い州の決定を無視するのかとヒラリー氏は主張。オバマ氏は「あそこでは誰も選挙運動をしていない」と反論している。



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