カストロ国家評議会議長が引退を表明した。キューバが米国の玄関先に位置する島国でもあり、今週のエコノミスト誌はトップ記事でこれを扱っている。カストロの約半世紀にわたる独裁政治の間、米国では10人の大統領が交代した。米国の輸出禁止の措置を受けながらも、独自の共産主義体制を維持してきた。今後の政治は、実弟のラウル・カストロが引き継ぐことになりそうだ。体制の本格的な変革は、カストロ死後になると見られている。どのように変わっていくのかは、2つのシナリオが考えられる。
1つは、中国やベトナムのように、共産主義体制を維持しながらも、徐々に資本主義の市場経済を取り入れていく方法。もう1つは、体制の突然の崩壊により、民主主義国家に移行するというもの。実際には、その中間の道を進むとみられている。カストロは、政権を獲得してからは、ソ連に接近し、米国からの輸出禁止、CIAの軍事侵攻、度重なる暗殺未遂事件などを受けた。しかし、こうしたことが、独裁体制を正当化する背景にもなっていた。一時的には、世界的にも健康面や教育面では、模範的な国家となったが、ソ連の支援が途絶えるとともに、計画経済の失敗もあって、国民は貧困と警察国家の中で、不自由な生活を余儀なくされた。しかし、キューバ国民は、カストロ体制以外の物を知らない。
改革で経済繁栄を享受するならば、このままの体制が継続していくことも十分に考えられる。今、米国は従来の輸出禁止政策を継続するのか、それを解除するのかの岐路に立たされている。キューバをあまり押し込めてしまうと、ベネズエラのチャべス大統領を利することにもなりかねない。