2008年2月9日号の注目記事


 Islam in the Netherlands  (Europe)
 Wild thing

 いまオランダでは、イスラムの人々との間の関係悪化を心配する人の声で持ちきりだ。イラン政府の人間はオランダとの国交関係を断絶するとまで発言しており、オランダ政府も「相当の危機的状況」として、イスラム圏に住む国民に、何か事件が起きたらすぐ政府に連絡するよう求めている。

何でこんな緊張関係になっているのかというと、発端は国会議員のヘィルト・ウィルダースが、昨年11月にコーランの邪悪さを暴く映画を作ると発言したことだ。まだ映画は作られていないが、映像を作りインターネットで流す事も検討しているという。ウィルダース議員は移民反対の政策を掲げ、これまでにも閣僚の中で二重国籍を疑われている人々に対し国への忠誠心を質問するなど、派手な活動を展開している。

オランダは2年前にも新聞紙上で教祖ムハメッドの漫画を掲載し、イスラム世界で大騒動を巻き起こした前歴があるだけに、今回はより神経質になっている。もっとも、表現の自由は同国民にとって、大事な価値であるだけに、政府も大弱りだ。


 India's film industry  (Business)
 Bollywood rising

 米国のハリウッドをもじってボリウッド(ボンベイが映画作りのメッカ)と呼ばれるインドの映画業界が、いま大きく変わろうとしている。米国の多数の映画会社が共同制作を働きかけてきて業界全体が盛り上がっていることもあるが、ボリウッド映画定番の歌と踊りの一本調子から抜け出そうというのだ。

 こうした動きに熱心なのが、2番目に大きい映画スタジオのUTV。同社は1995年に設立された比較的若い会社だが、もっと西側の市場を狙った映画製作に取り組んでいる。従来は家族経営で、一本調子のものが多かったのだが、「これまでは実験的な試みもなく、映画の発展性もなかった」と、映画の制作費も増やし、宣伝広告にも米国並みの制作費の4割を投入する意気込みだ。

 こうした動きが功を奏して、2006年にはインドの独立闘争を描いた映画が3100万ドルを稼ぐ大ヒットになった。もちろん、歌と踊りは除外している。本格的な映画作りの基盤ができてきているようだ。


 Suicide-bombers  (International)
 Just what are they dreaming of?

 各地での自爆テロが後を絶たない。2月3日にスリランカで、コロンボの駅にいた女性が自爆し、小学生を含む15人を殺害した。翌日、イスラエルのディナモにあるショッピングセンターで、男性の自爆テロが1年ぶりに起き、イスラエル人の老女が殺害された。また、パキスタンの駐屯地の町、ラワルピンディでバイクに乗った自爆テロが、軍隊のバスに突っ込み10人が殺害された。

 自爆テロリストの多くは将来のある若い青年や女性(最近は増えている)だ。なぜ、罪のない人を巻き込んで死に急ぐのか。何年も前から、原因を探るため研究が専門家により続けられている。確かに、自爆テロが多発していたのは、スリランカ(分離主義のタミールタイガーによる)だったが、いまはイスラム圏に中心が移っていることから、イスラム教(それもスンニ派)の殉教主義が影響していると見られていた。しかし、最近の研究では必ずしも宗教が背景にあるのではないと考えられている。むしろ、占領軍に対する抵抗であったり、特に占領軍が民主国の場合に心理的動揺を誘う目的だったりする。また、人々が反乱を支援するといった背景や、仲間が自爆者を英雄視するといった背景があると起きやすくなる。さらに、中流家庭の子弟が多いのは、礼儀正しさや慎重な態度が、テロリストに向いているかららしい。


 Technology and development  (Leaders)
 The limits of leapfrogging

 携帯電話ほど世界中に普及している新しいテクノロジーはないだろう。どんな後進国でも悪路や鉄道があまり整備されていなくとも、携帯電話は活躍している。固定電話ならば複雑な電話線の設置などが必要となるが、そうした20世紀の技術を一足飛びにして、新時代の技術を活用できるのだ。「馬とびテクノロジー」とも呼ばれるこうした最新のテクノロジーは、他にもあるのか。世界銀行が最近、調査結果を発表した。

 その中で、まず先進国の調査で、市場の浸透率が5%の製品28品目を調べたところ、その後の浸透率が50%に達したものが23品目もあった。先進国では、新たな役に立つと思われる製品に、一部の人が興味を持つと、他の人々も簡単に飛びつく。その反面、後進国での調査では、67品目の新テクノロジー商品のうち50%にまで浸透したのは、わずかに6品目に過ぎなかった。つまり、後進国では、少数の人々が興味を示しても、幅広く普及するのはなかなか困難なことがわかった。新テクノロジーが後進国で普及するには、もっと基本的なインフラの整備が大切であるということだ。


 Canada  (The Americas)
 Gangland

 カナダのバンクーバーで、ギャング同士が麻薬の支配権を巡って血なまぐさい抗争を繰り広げている。どちらかというと、これまで美しい牧歌的な静かな町として知られてきたバンクーバーだが、ちょうど禁酒法時代のシカゴのような無法の町の様相を帯びている。昨年は、市内で21人が射殺されている。ひどいのは郊外のアパートで6人が集団で殺害された事件で、4人は名の知れた悪党だった。すでに今年に入っても、2件発生、3人が射殺されている。こうした事件が多発している背景には、同市がマリファナの集出荷地点であり取引の中心になっている事情がある。ちなみにバンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州では、毎年70億ドルにのぼる麻薬の取引が行われているという。

問題は、こうした事件が起きても、ほとんどの犯罪が未解決のままで野放し状態にあること。犯人もほとんど捕まっていない。取り締まる側の警察官の数が少ないことも原因に上げられている。また、拳銃をほとんどのギャングが持っているといわれている。現場の麻薬チームは、警察官の増員を求めているものの、充当されるのは要求人員からは程遠い。もっと行政が本腰を入れない限り、この事態は沈静化しそうにない。



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