2008年2月2日号の注目記事


 The death of Suharto  (Leaders)
 Epitaph on a crook and a tyrant

 インドネシアのスハルト元大統領が死去した。32年に及ぶ長期政権を維持し、同国の近代化を推進したはずだが、エコノミスト誌は表題でも「泥棒と暴君の墓碑銘」とかなり手厳しい。その温和な仮面の下に隠された非情な政権の実情を暴きだしている。

 実際、60年代に実権を掌握してからというもの、何十万人もの人命が失われてきた。また、何万人もの人々が罪状を告げられることもなく何年も獄中に放り込まれた。東ティモールを侵略、占領した時代には、人口の3分の1が殺されたといわれている。さらに、スハルト一族は、長期政権下でさまざまな形で国の富を簒奪し、国の経済を疲弊させた。しかし、1998年に政権を追われてからでも、こうした簒奪が暴かれ追求を受けることはなかった。

 死亡後、国を挙げて1週間の喪に服することになり、テレビは偉業を讃え、人々は長蛇の列をなして、丘の上の霊廟にまで足を運んだ。だが、今のユドヨノ政権にはスハルトの影はさほど見られない。暴君の時代は終わりを告げたのだろう。


 The Gaza Strip (Leaders)
 Hamas won't go away

 2年前にパレスチナのガザ地区に鉄柵の壁を築いて、イスラム原理主義者のハマスを閉じ込め、民心を離反させようというイスラエルの作戦はどうやら失敗に終わったようだ。先月23日にエジプトとの国境線沿いにある壁がハマスによって破壊され、何十万もの住民が不足物資を求めてエジプト側に買出しに走った。間もなく開けられた穴は封鎖され、再び人々の苦しい生活が始まったが、ハマスに対する人気は衰えるどころか勢いを増している。すっかり根付いてしまった感がある。

 いまやイスラエルとしては、ハマスを追い出すことではなく、ハマスがいる状況の中でどうやって順応させていくのかを考える必要に迫られている。とは言っても、実行は難しい。ハマスの政策は「イスラエル国家の破壊」などと妄想的だ。しかし、一方で現実的な手法も模索している。双方が歩み寄り、お互いの存在を認め合いながら現実的な解決方を求めていくしかない。


 Australia's aborigines  (Asia)
 Stolen birthrights

 オーストラリアの新首相ラッド氏が、2月13日に歴史的な声明を発表する。オーストラリア原住民に対して欧州からやってきた開拓移民の人々の行った人権無視の行為についての政府としての公式な謝罪である。

 同国では、1910年から政策が廃止された1970年まで、約60年間にわたり、原住民の子供たちを親から引き離し、教会が運営する里親の家庭に預けるという政策が実行された。「失われた世代」と呼ばれるこうした人々は、推定で原住民の最高3分の1に達したとみられている。また、子供たちは肉体的にも性的にも虐待を受けた。現在の生存者は5万5000人に達する。こうした政策の背景には、原住民蔑視の人種差別があり、そのトラウマは現在にも引きずられている。

 ラッド首相は「原住民と白人との間には、平均余命で17年の開きがある。その差を埋めたい」と話している。同国の人権委員会は1997年の報告の中で、謝罪とともに賠償金の支払いを求めているが、ラッド首相は賠償金の方には目をつぶっている。



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