インドネシアのスハルト元大統領が死去した。32年に及ぶ長期政権を維持し、同国の近代化を推進したはずだが、エコノミスト誌は表題でも「泥棒と暴君の墓碑銘」とかなり手厳しい。その温和な仮面の下に隠された非情な政権の実情を暴きだしている。
実際、60年代に実権を掌握してからというもの、何十万人もの人命が失われてきた。また、何万人もの人々が罪状を告げられることもなく何年も獄中に放り込まれた。東ティモールを侵略、占領した時代には、人口の3分の1が殺されたといわれている。さらに、スハルト一族は、長期政権下でさまざまな形で国の富を簒奪し、国の経済を疲弊させた。しかし、1998年に政権を追われてからでも、こうした簒奪が暴かれ追求を受けることはなかった。
死亡後、国を挙げて1週間の喪に服することになり、テレビは偉業を讃え、人々は長蛇の列をなして、丘の上の霊廟にまで足を運んだ。だが、今のユドヨノ政権にはスハルトの影はさほど見られない。暴君の時代は終わりを告げたのだろう。