2008年1月12日号の注目記事


 R-word index  (Finance & Economics)
 Warning lights

 エコノミスト誌には、経済状況を計る独自の指標として、"R-word index"なるものが存在する。この"R-word"とは、つまりrecession(景気後退)を指している。具体的には、米国の代表的な新聞であるワシントン・ポスト紙と、ニューヨーク・タイムズ紙の2紙から、recessionという文字の入った記事が何本あるか、その数を四半期毎に集計するものである。景気を判断する手法としては、かなりユニークなものだが、経済の先行きの「空気を読む」という点では、かなり実績を挙げている。これまでも、1981年、1990年、2001年の景気後退の「始まり」をピタリと当てている。

 その観点から見ると、ここ近年の"R-word index"は、極めて低かった。しかし、2007年の第2四半期から上昇し始め、今年早々から急上昇し始めている。それでも、記事の本数は、これまでの景気後退と比較するとまだ少ない。今年の第1四半期でこの数値が上がり続ければ、ちょうど2001年の景気後退と同じような状況になるのではと、予測されている。


 The one-lakh car  (Business)
 No lakh of daring

 インドのタタ自動車が、1月10日に衝撃的な低価格自動車を発表した。「ナノ」と名づけられたこの車は、値段が何と1ラク(10万ルピー、2500ドル)。これは競合他社の最安値の車の半値である。

 インドはブリックス諸国の一員として、急激な経済発展を遂げてはいるものの、まだまだ国民1人当たりの所得は低い。そこで安い車を提供して、大衆の多くに車を持ってもらおうということで、開発を続けてきた。タタ自動車はこれまでトラック生産が主力で、小型乗用車の生産は、わずか10年前から手がけたばかり。

 価格を低く抑えるため、技術面を含め相当苦労したようだ。エンジンを後部に搭載し、車輪を極力外側につけるなど、独自の工夫も凝らしている。従来の小型車に比べ車内の空間も21%広く取ってある。33馬力で623CCのエンジンを持ち、燃費も1ガロンで50キロは走るという。今後、他社も追随するようだ。バジャールオート社は、日産と提携して低価格車の生産に入ることになっており、ホンダやトヨタも低価格車の計画が進行中である。


 Starbucks v McDonald's  (Business)
 Coffee wars

 米国内と海外で、店舗の急激な拡大路線を走っていたスターバックス社が、ここにきて大きな危機に見舞われている。というのも、昨年、同社の株価が42%も急落したからである。ナスダック上場企業として最悪の記録となった。また、店舗数は増加しているにもかかわらず、年間の客の数も昨年は初めて減少に転じている。さらに、1月2日に投資銀行のベアスターンズが、同社の評価を下げたことから、株価は12%下落。危機感を抱いた同社はついに社長のジム・ドナルドを首にしてしまった。そのポストに創業者のハワード・シュルツを持ってきた。

 同じような危機は、同社とコーヒー戦争をしているマクドナルド社も今世紀初頭に経験している。やはり店舗拡大路線が裏目に出た結果だ。その後、マクドナルドは、路線を修正。今は少しアップグレードして、スターバックスに近づいている。

 スターバックスにとっては、米国内の市場は飽和状態になっているとの指摘もあるが、シュルツ社長も軌道修正して経営改革をしていかざるを得ない。同社がどのようなパフォーマンスを展開していくのか見ものである。


 Censorship in China  (Asia)
 Caution: lust

 ここ最近、中国でセックスや暴力場面の入った映画が相次いで製作され、問題場面のカットや上映禁止措置などを取った検閲当局に対して、人々から「少し考え直せ」といった声が出ている。問題になったのは、オスカー賞受賞の台湾出身のアン・リー監督が製作したスパイもののスリラー「色、戒」。セックスや暴力場面がカットされた。それと性描写が多いということで完全に上映禁止になったリ・ユ監督の「蘋果(Lost in Beijing)」の2本だ。

 現在の中国では、子供に見せられない映画は、大人も見てはいけないことになっている。しかし、これはひどすぎるというわけだ。日本でいう映倫のようなものだと思われるが、「大人向けには、一定の評価システムを作ってはどうか」といった評論家の声もある。しかし、当局はまだこうした声には耳を傾けようとはしていない。

 もっとも、インターネットには、カット場面が流れており、街ではノーカットの海賊版も売られている。さらに、香港にまで映画を見に行くツアーまであるという。中国の映画文化が先進国並みになるのは、いつのことだろう。


 Executions in China (Asia)
 The bullet or the needle

 中国国内では、犯罪者に対する死刑の執行数は世界でも最も多い国であることは、つとに知られているが、では、実際に毎年何人が処刑されているのかの実態は、公表されていないのでわからない。国際アムネスティが、新聞など公表された資料を丹念に積み上げたところ、2006年には、2,790人が死刑宣告を受け、判明しただけで1,010人が処刑されたという。この他にも「7,500人以上が処刑されている」とする団体もある。

 従来の処刑方法は、囚人の後頭部にピストルを当て、射殺するというものだが、この方式が大きく変わろうとしている。今月、最高人民法廷が明らかにしたもので、射殺から、毒物の注射に変えるという。「この方法の方が人間的」というのが、その理由だ。最初に実験的にこの方式を導入したのが1997年。その後、各地区に広がっていった。

 もっとも、毒殺そのものがよいのかという議論もある。現在、同じように注射で処刑している米国では、今週、囚人側から「毒殺はものすごい苦しみを伴う。憲法違反でもある」と、反対する声が上がっている。そのため、米国最高裁はこのことに対する聴聞会を開くことにしている。


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