2007年12月22日号の注目記事


 The presidential race (Leaders)
 In praise of the primaries

 2年近い長期戦を強いられる米大統領選挙。その中でもPrimaryと呼ばれる予備選挙は、私たち日本人にはあまり馴染みが薄い。しかも、そのスタートはアイオワ州とニューハンプシャー州で、双方合わせても、人口わずか430万人ほどの規模。だが、この両州でのスタートが、ある意味で選挙全体の方向づけをするのだから、各候補者にとっては正念場だ。

 予備選挙に関しては、他の国々の人々から「おかしな選挙制度だ」といった批判はあるが、長所もある。1つには小さな州での選挙に集中することで、多くの選挙民が候補者たちと接触する機会が持てる。日本でいう「ドブ板選挙」の展開を余儀なくされる候補者たちは、自身の赤裸々な姿を選挙民にさらけ出すことになる。候補者の人柄やカリスマ性の有無が見極められる。その中で候補者の選別が自然に行われるという。この期間中に起きた出来事は、インターネットのおかげで、国中に広まってしまう。

 もっとも、この2州で失敗しても、大統領選挙そのものには勝つこともできる(ビル・クリントンの場合がそうだった)。いずれにせよ、この長い厳しい予備選挙は、国の首長選びのプロセスとしては、他国民の知ることのできない意義があるに相違ない。


 Lexington  (Leaders)
 The spirit of Christmas

 米国魂というものがある。どんな時にもめげず、何にでも可能性を見出し、アメリカン・ドリームを追い続ける――欧州人と比べ、米国人は伝統的に楽観的な人生観を持っていた。だが、ここ5年間はすこし様相が違っている。国民の4分の3までが、「国は間違った方向に進んでいる」と考えている。政府に対する信頼感も2001年から比べると半減している。将来に関しても悲観的だ。「子供たちの暮らし向きが自分たちより良くなる」と考えている親はわずか3分の1にすぎない。だからこそ、「希望」を象徴するオバマ氏のような候補者が善戦しているのである。

 国民が悲観的になる理由は確かにある。国民はブッシュ政権に嫌気がさしている。イラク戦争は米国に対する善良なイメージを打ち壊してしまった。さらにサブプライムローン問題で、生活の基盤となる住宅に対する不安が持ち上がっている。

 しかし、エコノミスト誌は、米国民に「もっと元気を出しなさい」と呼び掛けている。米国の社会は良くなっている。犯罪は1973年以来、劇的に減っている。10代の若者の喫煙率、セックス率、学校の中退率も減っている。社会福祉面でも改善している。貧困や飢えに苦しむ子供も減っている。移民問題などについても、欧州諸国と比べると、はるかに上手に同化し吸収しているのである。再度、前向きな米国魂を見直す時である。


 The British army  (Britain)
 Beating the retreat

 米国のイラクの侵攻と同調して、同国南部のバスラに進駐した英国軍だが、政権もブレア氏からブラウン氏へと変わり、目下どのような形で名誉ある撤退を図るのかの道を探っている。今月16日には、バスラ空港内でイラク当局への治安維持権限の移管式典を行った。英国軍は、侵攻初期にはまだベレー帽をかぶっていたが、その後、北部の治安悪化が拡大、バスラ市内でも弾丸が飛び交うようになった。現在までの軍の犠牲者は170人にのぼり、戦費も50億ポンド(100億ドル)に達している。

 英軍司令官によると、バスラでの治安状態は、イラク軍に引き渡せるほど良くなったという。確かに英国軍への攻撃は減っている。しかし、それは9月に英国軍が市の中心部からバスラ空港内に引き揚げたために起きたことで、イラク人にとっては、バスラは依然として治安の悪いところである。毎月20人前後の死者が出ている。

 英国軍は来年春までに、現在の4,500人から2,500人にまで削減する計画である。さらに、来年末には地上部隊は全員引き揚げる予定である。


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