2007年12月1日号の注目記事


 Japan's markets (Finance & Economics)
 Why us?

 米国のサブプライムローン問題に端を発する金融危機は、日本にとっては、いわば「対岸の火事」のはずだが、なぜか日本経済まで大きな影響を受け、株価は大きく下落している。日経平均は今年1月に比べ10.6%も落ち込んでいるのである。

 今週のエコノミスト誌は「なぜ我々まで」と題して、この点を採り上げ分析している。こうした病的症状は、多分に国内的な原因によるようだ。今年初めの消費者金融に対する締め付け、地震対策として今夏打ち出した建築物への法規制で新たなビルの建設が5分の2にまで大きく落ち込んでしまった(米国でのサブプライムローン問題も、これほど大きな打撃を米建築業界に与えていない)こと、消費税を現在の倍の10%にまで上げるといった与党側からの余計な観測――などが、すっかり消費者心理を冷えさせてしまったというのだ。

 現在、株価が下がったことで、中東や中国などの外国資本が日本企業の株の買収にかかっているといった動きもある。今後の日銀の金融政策が注目される。

 


 Philips (Business)
 Bright idea

 街の照明が大きく変わろうとしている。今週末、イタリアのトラッカ村(イタリア南西部のちょうど靴の上のあたり)で、世界で初めての発光ダイオードによる街路灯が全村で点灯することになる。発光ダイオードは白熱光の照明に比べると、電力消費も8分の1となり、熱を発せず、最低10年間は持つという文字通り「環境にやさしい」照明である。同村の街路灯は、イタリア創業のエレットロニカ・ゲルビソン社が製作、設置した。

 同社はもともと乗用車の照明部品メーカーであり、発光ダイオードは後部ライトなどにも幅広く採用され始めている。同社は街路灯のみならず他の発光ダイオード商品の広がりを見込んでいる。この分野での可能性を狙って、投資家たちにもちょうどコンピューターが出始めたころと同じような投資熱が高まっているようだ。

 こうした動きに機敏に反応しているのが、欧州最大の電機製品メーカーのフイリップス社。今週、27億ドルで米国のジェンタイル社を買収し、米国市場での最大の照明器具販売会社となった。この買収で、米国内での発光ダイオード照明の販売を増進できると見込んでいる。同社は今後も企業買収を計画しており、世界市場を席捲する勢いだ。

 


 South Korea (Asia)
 Dirty laundry

 韓国の巨大財閥でコングロマリットのサムスン(三星)が、告発の場に立たされている。もっとも、今年は韓国では選挙年であり、いつも通り告発も尻すぼまりに終わるものと、一般的に見られている。

 ところが、問題は「会社は政治家などへの賄賂用に、私の名義も含め1,000口座以上の隠し口座を持っている」と暴露しているのが、元上級幹部の内部告発者であることだ。そのキム・ヨン・チュル氏は、初めマスコミを通して問題を明らかにしようとしたが、なかなか乗ってこなかったため(サムスン系の新聞社もある)、カトリック神父の団体に訴えた。この団体が記者会見したことから、マスコミも無視できなくなり、問題が大きく発展した。

 すでに検察当局が調査に入っており、大衆の抗議行動から独立検察官も選任され、調査に乗り出している。韓国では、これまでも度々、政治家と財閥の癒着が問題となってきたが、どの大統領もこれに本腰を入れて取り組んでこなかった。今後の行方が注目される。

 


 The Annapolis peace summit (Leaders)
 Much to be modest about

 先週のトップ記事の続報。ブッシュ大統領は、11月27日に、アナポリスにおいて、イスラエルとパレスチナの両国首脳を呼んで待望の会談を開いた。しかし、結果は"BETTER than nothing"(何も無いよりまし)。この一言が全てを語っている。

 事前交渉に何週間も費やして、出てきたのは会談の1番最後ギリギリの時点で、ようやく437語の宣言文だけだった。先週号でエコノミスト誌は、異例と言っていいほど、ブッシュ氏の決断(「独立パレスチナを招来できるのは貴方だけなんだ」、「ただ適切な演説をすればいいだけだ」)を促したのだが、やはり、ブッシュは凡庸な人物だったのだろう。歴史の要請に応えきれなかった。

 彼は、演説の中で問題となっている3つの論点(国境、難民、エルサレム)に対する両国への具体的な要請はついにしなかった。会談の成果といえば、1年後に合意に達するべく、2週間に1度、両国の話し合いの場を持とうということだけ。話し合いもあるに越したことはないのだが、これでは、国内に過激派を抱えるアッバス氏がかわいそうである。

 

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