2007年10月6日号の注目記事


 Indian business  (Leaders)
 Untouchable and unthinkable

 経済発展を続けているインドで、カースト制度の問題が再び論議の的になっている。中でも問題になっているのが、カーストの四階層にも入らない最下層の「不可触賎民(アンタッチャブル)」の人々である。

 彼ら自身は、自分たちのことを『ダリット Dalit』と呼ぶ。

 ダリットとは壊された民(Broken People)という意味で、近年、ダリットの人権を求める動きが顕著となっている。政治的な動きもあり、政府も企業に対して一定数の雇用割合を義務付けている。

 これはもちろん良いことには違いないが、エコノミスト誌は「企業にさらなる雇用を強制することは、インドのビジネスにとって逆効果になる」と警告している。

 インドには「積極的差別是正措置」の長い歴史がある。1950年の独立以降、大学や公的な職場での差別の廃止は行われてきた。しかし、さほど効果が出ているようには見えない。そこでさらに企業に対する圧力が強まっているのだが、公共部門で効果が無かったからと言って、民間に同様な政策を押し付けるのは気違いじみているというわけだ。

 この問題について、briefingとして「Business and caste in India:With reservations」の記事もある。


 Satellite navigation (Business)
 Location, location, location

 ポータブル・ナビゲーション機器(PND)分野での世界的な市場争奪戦が激化している。

 10月1日に世界最大の携帯電話メーカーNOKIA社が、世界最大の電子地図メーカーNAVTEQ社の買収を57億ポンドで行うと発表。また、この7月には、オランダのPND販売会社TOMTOMが、世界第2位の電子地図メーカーTELE・ATLAS社の買収計画を発表している。

 従来のPNDメーカー各社のシェアも、NOKIA社などの参入で新製品の開発も行われ、大きく変わっていくものとみられる。シリコンバレーにあるDASH社も価格競争を仕掛けており、市場も大揺れだ。

 こうした企業の活発な動きは、PNDがまもなく生活必需品になってくるとの業界の読みがあるからだ。価格も2年前の640ドルから、現在の400ドルに下落している。PNDの機能もどんどん進化している。いろいろなサービスが付加されていくと思われる。

 これがまた更なる企業の提携、買収などにつながっていくだろう。ここ当分はこの業界から目が離せない。


 Australia's farmers  (Asia)
 Dried up, washed out, fed up

 オーストラリアで大干ばつが起きているが、天気の長期予報が不正確なため、予報を信じて行動した農民たちは、あてが外れて途方にくれている。

  こうした農民の中には9月には雨が降るとの長期予報と豊作を信じて、先物取引に投資して大失敗した人々もおり、事態は深刻だ。オーストラリアは世界でも最大の麦輸出国だが、雨が降らないことから、政府は今年6月に発表した生産高を3分の1減らしたほど。農業危機は深刻で、13万人にのぼる農家はこのままだと借金を抱え土地を離れることを余儀なくされる。

 そこで政府は9月末に緊急の10億ドル相当の干ばつ援助金の支出を発表した。当然、農業生産の落ち込みは同国の経済成長にも影を落とすことになる。

 ある意味で、地球的な気候変動のとばっちりを受けたと言えなくも無いが、長期予報が当たらなくなっている近年の気候について、我々ももっと真剣に考える必要がある。決して「対岸の干ばつ」ではないのだ。


EIS「英国エコノミスト日本語オンラインサービス」会員様は、エコノミストの運営するサイト「Economist.com」の英字記事がすべてご覧いただけます。

 


Copyright©EIS,Inc.2007 All rights reserved.