2007年9月29日号の注目記事


 Black leadership in America  (United States)
 Race, justice and Jena

"Jena six"と呼ばれる新たな人種偏見の問題が米国で起き大きな論議を呼んでいる。

 巨大ハリケーンの爪あとがまだ残っているルイジアナ州のジナという町で、16歳の黒人高校生が、白人の同じ高校の生徒に人種的いじめをうけたことから、他の5人の仲間の高校生とともに襲ったという事件が発端だ。85%が白人のこの町で、裁判の日に出席した陪審員もみな白人(黒人の陪審員は欠席した)で、未成年者が犯した集団暴行事件(殺人ではない)としては、誰が見ても極めて重い第二級殺人の判決が出そうになった。

 そこで、この6人を救えと全米から2万人が抗議に参加するという大騒ぎになっているのだ。暴行を犯した6人はまだ刑務所の中だ。この件につき、改めて黒人の人権問題がクローズアップされ、新旧の黒人指導者らが動き出している。

 エコノミスト誌は、Jesse Jacksonなど旧来の指導者が発言力を失っていく中で、Charles RangelやJohn Conyersら新たに台頭した人々に注目している。
 


 Charlemagne (Asia)
 A cheesy tale

 チーズといえばスイス。それほどスイスとチーズ生産のイメージは切っても切れない。これまで、「グローバリゼーションは上品なチーズの敵」といった考え方が、欧州人の頭にこびりついており、フランスでも「マクドナルドは出て行け。ロクフォール(代表的なブルーチーズ)を守れ」といった運動が盛んになったこともある。

 そのスイスで、いま大きな変化が起きている。同国のチーズは国際的な競争にさらされることで、かえって守られるという考えのもと、政府は大きな賭けに出たのだ。

 まず、今夏は、EUとスイスの間で、完全自由化に近いチーズ貿易の措置が取られた。結果としてEU各国で生産するチーズに対する関税障壁が消えた。また、高級品を求める消費者へのアプローチもしやすくなった。つまり、スイスチーズのような高級品を好む多くの外国の消費者の嗜好に合わせる措置を取ることの方が、伝統的なチーズ生産者を守る結果になるというわけである。

 この試みは問題の多い欧州の農業改革への1つのモデルケースになるかもしれない。
 


 Peru (The Americas)
 Fugitive returned

「亡命者の帰還」という副題で、ペルーの元大統領フジモリ氏が、チリから送還されたことが、記事として報じられている。

 1990年から2000年まで10年間、ペルーの大統領として、ハイパーインフレを沈静化させ、経済成長をなしとげ、テロリスト集団のセンドロ・ルミノソを殲滅するといった偉業を成し遂げたフジモリ氏は、一時期は救世主扱いをされていた。しかし、同氏の政権にはやはり暗部があった。いま、裁判所で情報機関の長であったモンテシノス氏を中心とした贈賄などの政界工作や、民間人25人を虐殺した暗殺部隊との共謀など、7件の事件への関与が問われている。

 逃亡した独裁者は、おおむね国際法廷で裁かれるケースが多いが、かつての大統領が自国の法廷で裁かれるのは、初めてのことだ。人気政治家である娘のフジモリ氏は「父は復讐の被害者だ」と主張しているが、今後の裁判が注目されている。
 


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