チーズといえばスイス。それほどスイスとチーズ生産のイメージは切っても切れない。これまで、「グローバリゼーションは上品なチーズの敵」といった考え方が、欧州人の頭にこびりついており、フランスでも「マクドナルドは出て行け。ロクフォール(代表的なブルーチーズ)を守れ」といった運動が盛んになったこともある。
そのスイスで、いま大きな変化が起きている。同国のチーズは国際的な競争にさらされることで、かえって守られるという考えのもと、政府は大きな賭けに出たのだ。
まず、今夏は、EUとスイスの間で、完全自由化に近いチーズ貿易の措置が取られた。結果としてEU各国で生産するチーズに対する関税障壁が消えた。また、高級品を求める消費者へのアプローチもしやすくなった。つまり、スイスチーズのような高級品を好む多くの外国の消費者の嗜好に合わせる措置を取ることの方が、伝統的なチーズ生産者を守る結果になるというわけである。
この試みは問題の多い欧州の農業改革への1つのモデルケースになるかもしれない。