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The Economist 2008年7月5日号

石油価格
The oil price

投機筋を責めるな
Don’t blame the speculators
(2008年7月3日)

投機の抑制で石油価格を下げようとする政治家たちは、逆に事態を悪化させるだろう

石油価格は記録更新を続けているが、この1週間、ある意味で石油市場は静かだった。米議員たちが休暇を取って独立記念日を祝っているからだ。だから投機抑制を目的とする法案の津波も一休みの形だ。

米議会はこの問題についての異なる10法案を審議中だ。下院は休暇に入る前、1つの法案を402対19で可決した。石油および他の原材料価格の急騰は投機筋のせいだと非難しているのは米国の政治家だけではない。石油1バレルの価格ごとに「投機的シャンパンの大瓶」が含まれている、とイタリアの財務相は信じている。オーストリアは、欧州連合(EU)が投機に課税するよう望んでいる。サウジアラビアその他の大産油国は決まって石油の高価格を、休止中の油田よりも投機で湧きかえる市場のせいにしている。

投機筋を非難する人々は、先物市場での取引の量と石油価格との関連性を指摘する。2004年以降、世界最大の石油市場、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)での取引量が3倍になったのは、石油価格が3倍になったのとほぼ一致している。

その上、石油への投資は一種の流行になっている。長い経験を持った商品取引業者およびヘッジファンドだけでなく、年金ファンドや個人といったあまり経験のない者まで参加してきている。そして非難者たちの推論によれば、これらすべてが商品バブルを助長している。値上がりに賭ける投機家たちの殺到が「自己実現的予言」(本来は起こらないことが、予言したがために起こることをいう)を招いている――石油価格を右肩上がりにしているのは、不適切な供給でも、抑えきれない需要でもないというわけだ。

先物でなく、石油に従え

こうした推論は、犯人探しをしている人々には魅力的だ。だがそれを支える証拠はほとんどない。一例を挙げれば、石油先物への投資の増加は、世界の石油取引に比べるとそれほど大きくない。投資銀行バークレイズ・キャピタルの計算によると「インデックスファンド」(彼らは常に値上がりの方に賭けるので特に政治家を苛立たせている)は、NYMEXで目立った契約の12%を、また世界年間石油消費量の2%相当額を占めるにすぎない。

より重要なことに、インデックスファンドも他の投機筋も石油の現物は買わない。彼らが買うのは先物またはオプションであり、期限が来れば彼らはそれを現金で決済する。これらは実質的に、価格がどちらに動くかについての賭けである。そうした契約に使われる実際の通貨は原油の樽ではなくて現金なので、彼らが行い得る賭けの数に制限はない。そして市場から石油が持ち去られるわけではないので、これらの賭けは、サッカー試合での賭けが勝敗に影響しないのと同様に石油価格には影響しない。

ニッケル市場がこれについて良い例証になる。ニッケルに対する投機的な投資はこの1年間、着実に増大してきたが、その価格は半分に下がっている。同様に、鉄鉱石や米など取引所で売買されない商品の価格が、石油と同じくらい急速に上昇している。

石油その他の原材料の価格を決める上で、投機筋が重要な役割を果たすのは事実だ。だが彼らは気まぐれにそうするのではなく、供給と需要の将来の傾向への読みに基づいて動く。もし彼らが何らかの方法で正当化できないほど高く価格を押し上げたとすれば、需要が収縮して売れない石油のたまりができるだろう。

先物市場は時に価格が上がりそうだというシグナルを送り、それによって投機筋が買いだめに走ることはあるかもしれない。だがそうしたシグナルは今のところ見られず、だから買いだめの兆候もない。ストックの増大がないのに、石油市場は現実を掌握できなくなったと主張するのは難しい。

産油国は事実上、地下に石油を「買いだめ」していると主張する人もいる。だがその兆候は、企業の間でも産油国の間でもほとんどない。サウジアラビアを除いて大きな石油輸出国はできる限り速く採掘している。

先物取引には相手が要る

悪評にも関わらず、石油投機筋は重要なサービスを提供している。航空会社およびその他の石油大量消費者が価格上昇に対してヘッジし、それによってリスクを減らすのを彼らは助けている――経済混乱の中でこれは大きな恩恵だ。同様に彼らは産油国に対してより予見可能な将来の収益を与える。それによって産油国は自信を持って能力を拡大し、そのための低利融資を受けることができる。それは結局、長期的には石油価格を引き下げるはずだ。それと対照的に投機抑制のいかなる試みも、企業の行動を難しくし、石油をより高価にしそうだ。






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