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The Economist 2008年6月28日号

イスラエルとイラン
Israel and Iran

事態は思っているより進んでいる
It’s later than you think
(2008年6月26日)

イスラエルはイランの核施設に攻撃を加えると脅迫している。これはこけおどしではないかもしれない

原油価格がこれだけ高騰し、イラクがおぼつかないながらもどうにか安定に向けて前進し始めたこの時期に、中東情勢に関して最も聞きたくないニュースは、突然に最悪の事態へ暗転する可能性があることである。不幸ながらその可能性はあるのだ。ここ数週間、イランの核施設へイスラエルの軍事攻撃が行われる見込みについて、急に多くの人々が言及するようになった。イスラエルはこれ見よがしに地中海での長距離空爆演習を実施しており、同国元参謀本部の1人は、イランが核開発を続ける限り攻撃は避けられないと話している。このような雑音は、ちょうど2年前に国連安保理事会が行ったイランへの核濃縮停止命令に従ったほうが賢明だということを意図して行われた単なるこけおどしなのかもしれない。だが、再度言うように、そうでないのかもしれないのだ。

最近まで、イスラエルか米国がイランに攻撃を加えるとの恐れは減少していた。米情報機関が昨年12月に発表した不都合な真実に関する発見――イランが2003年までに核兵器の設計を中止するに至った――についての報告書の後、米国の攻撃の見込みは薄らいだ。同時に、これまで外交官たちが必要性を指摘してきたような前進策が、実際に取られた。つまり、安保理事会で露中や西側から支持されたイランに核濃縮の遠心分離を中止させる一連の決議が行われたのである。制裁措置も同様に課せられた。最も新しいところでは、今週EUはイラン最大の銀行、メリ銀行の資産凍結を決めた。ゆっくりした動きではあるが確実に、外交の通常の手段で圧力を加え、最悪の手段を使う必要の無い状態に持っていける――と結論づけることだろう。しかも、11月になれば、米国民はバラク・オバマを大統領に選出するかもしれない。彼はイランとの問題を最高位の人間との直接対話――必要な外交手段でありながら、ジョージ・ブッシュが決して採用することのできなかった――で解決すると約束しているではないか。

こうしたことが懸念しないでいい理由だとするならば、もう1度よく考えてみるべきだ。米国情報機関の発見にもかかわらず、イスラエルや他の多くの政府はイランが核兵器への関心を捨てたなどとは考えていない。確かに国連は決議を行って緩やかな制裁措置を課した。だが、その後の2年間というもの、イランはこれらを無視し続けてきた。遠心分離機を回し続け、イスラエルの破壊を訴え続けてきたのだ。退任間近のブッシュ氏がイランの爆撃に乗り気でないのも同じく事実だろう。だがオバマ大統領の出現の可能性は、むしろイスラエルに単独での爆撃に向かわせることになるかもしれない。元ブッシュ政権の行政当局者でタカ派のジョン・ボルトンは今週、イスラエルが攻撃の1番いいタイミングとして大統領の移行期間が最適と考えるかもしれない――選挙戦に影響するとの非難には遅すぎて当たらないし、新大統領のゴーサインの必要性が発生する前だし――と発言している。

攻撃するな

そのような攻撃は間違いだ。たとえそのことが、世界の核監視機関IAEA(国際原子力機関)のモハメッド・エルバラダイ事務局長が予測するように、この地域を巨大な「火の玉」と化すことは無いにしても、確実に報復を引き起こすことだろう。イランの国家規模と高度な知性を考慮に入れれば、イラン人がどのような計画をもっていたにせよ核軍事国家として台頭してくることをせいぜい遅らせることはあっても、それを阻止する事はできないだろう。だが仮に核爆弾を持つに至ったとしても、イスラエルの所持する巨大な核貯蔵量を恐れて、それを使用することはおそらくあるまい。また、そのような野心は持っていないと否定することが真実であった場合(明らかにありえないことだが)、どのように考え方を急旋回させてもイスラエルの攻撃に対応する事はできないだろう。

問題はこうした論理が首都のテルアビブでは違って受け取られていることだ。同国の歴史を踏まえると、繰り返しイスラエルの破壊を唱える国家に対しては、いかなる危険を冒してでもそうした破壊手段の獲得を阻止しようとするイスラエル国民が多いと思われる。今日まで、世界は多くの会議を持ち、イランに急速な核濃縮を止めさせるよう緩やかな制裁措置を課すに至った。今や、手遅れでないことを望みながら、もっと厳しい制裁を加える時である。






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