中国の自動車生産
Carmaking in China
衝突しそうだ
Collision ahead
(2008年4月24日 北京)
中国の自動車市場に淘汰が迫る――急成長中だがメーカーが多すぎる
北京モーターショーで各社が注目を集めようと激しい競争を繰り広げているのを見ると、現在、世界第2位の自動車市場である中国市場の厳しさが増していることがうかがえる。ほぼすべてのブースで8インチのヒールを履いた若い女性が車の傍らでポーズを取り、唇を突き出している。定期的に大音量のロックが鳴り響くと、観客はそのブースに殺到し、わずかばかりの衣装をまとってこれ見よがしに踊るダンサーをじっと見つめる。最も音量が大きくて背の高い女の子たちがいるのは、決まって自社製品を展示している国内メーカーのブースだ。魅力のない製品では人が集まらないので、一部のメーカーは役に立つことはすべて利用する必要がある。それも一因ではあるが、主因は別のところにある――地元企業との合弁で市場を席巻している外国企業と互角に競争できるメーカーになるために、中国メーカーは厳しい戦いを余儀なくされているのだ。
昨年、中国での乗用車の販売台数は前年比約20%増の620万台に上り、その勢いが衰える気配はない。欧州では人口の60%、米国では80%が自動車を所有しているのに対して、中国ではわずか4%である。米自動車最大手、ゼネラル・モーターズ(GM)のアジア太平洋部門社長ニック・レイリーは、中国市場が10年以内に米市場を追い越すだろうと予想している。これだけ売り上げが急上昇していれば、数多い中国メーカーもそれなりに成長できるのではないか? だが、実際は競争が激化している。市場調査会社J.D.パワーによると、中国の国産ブランドの市場シェアは昨年27.7%から28.7%へとわずかしか伸びていない。
地元メーカーは多くの困難に直面している。第1に、中国で地元パートナーと合弁を組んで営業している外国メーカーが市場にしっかり食い込んでいる。フォルクスワーゲンとGMはそれぞれ17%と10%のシェアを占めている(GMのビュイックの場合、米国内より中国での販売台数のほうが多い)。第2に、中国の購入客はステイタス意識が極めて高い。彼らは大型の特別仕様車を好み、購買力も高まっている。昨年の売上を見ると、高級車は35%、多目的スポーツ車(SUV)は50%も上昇しているのに、主に国内メーカーが販売する小型車は4%しか伸びていない。
おびただしい数のメーカーに販売が分散されているために、地元メーカーはさらに厳しい状態に追い込まれている。日産は出遅れて5年前に中国市場に進出したが、その後5%のシェアを獲得した。同社の最高経営責任者カルロス・ゴーンは、中国では100社を超す国内メーカーがしのぎを削っていると見ている。
地元メーカーで採算ラインに近い販売実績を上げているのは、最大手で他社よりはるかに規模が大きい奇瑞汽車だけだ(昨年の販売台数は48万9000台で、うち12万台は輸出向け)。2番手である吉利汽車の昨年の販売台数は22万台しかなかった。しかし、両社とも大きな計画を立てている。奇瑞汽車は年間生産能力を70万台に増強したばかりだし、安全基準を満たして欧州や米国でも販売できるようにしようと努力している。吉利汽車は5つの新規車台を開発中だと主張し、2015年までになんと42車種の新型車を発売すると語っている。どちらも目的達成には苦労するだろうが、米国と日本のメーカーの幹部はこの2社を中国で最も競争力のあるメーカーだと見ている。