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  The great American slowdown
  Apr 12th - Apr 18th 2008




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The Economist 2008年4月12日号

世界経済
The world economy

米国の大幅な減速
The great American slowdown
(2008年4月10日)

米国の景気後退は大方の懸念ほどには深刻でないかもしれないが、回復には予想以上の時間がかかるだろう――それが危険なのだ

米国人は景気後退――とくに個人消費の落ち込みを伴うもの――にはあまりなじみがない。過去4半世紀にわたり、この世界第1の経済大国が正式に景気後退に陥ったのは1990〜91年と2001年の2回だけだった。そして2回とも短期で緩やかなものだった。2001年には個人消費はほとんど落ち込まなかった。90〜91年の景気後退時には消費の落ち込みは見られたものの、ほんの短い間だった。より多数の消費者がより多額の借金をするのを可能にした資産価値の上昇と金融革新商品のおかげで、約20年にわたり全体的に見て米国人の財布の紐が締まることはなかった。

今回はすこし様子が違うようだ。景気は後退期に入ったことをあらゆる兆候が示しており、今回は消費の落ち込みも表面化している。気前のいい米国消費者も4つの悪材料に悩まされている。住宅価格の崩壊、信用収縮、燃料と食品価格の高騰および、より最近鮮明になった労働市場の悪化だ。民間部門の雇用が4カ月連続で減少するなか、3月の失業率は5.1%に上昇した。財布が軽くなるのを実感し、自分たちに金を貸してくれる人間がだんだん少なくなってきている状況から、消費者は支出を抑え始めており、その具体的影響は自動車販売の不振に表れている。個人消費が米国需要の70%を占めている点を考えると、その落ち込みは、特に一時隆盛を誇った建築業界の崩壊と一緒に発生していることから、深刻な問題となっている。IMFは2008年の米国経済の後退を正式に発表しており、多くのFRB関係者も生産が低下していると考えている。

緩やかながら長引く不況――さらなる悪化も

今回の景気後退は、米国と世界に2つの大きな質問を投げかけている。どれだけ長く続き、どれだけ深刻かという2点だ。2番目の点については、やや楽観的な見方もできる。これまで米国の景気後退は世界経済の低迷につながるのが普通だったが、今回の低迷は――特に新興国に対しては――あまり深刻な影響はないだろう。むしろ経済的試練は、今回の景気後退の長期化から生じると思われる。米国が何年間も低迷した場合にはさまざまな問題を引き起こしかねない。

これは深刻な世界経済の低迷が起こらないという意味ではない。IMFは、2008年と2009年に世界の経済成長率が3%を下回る可能性は25%あると推定しており、これは彼らの観点から見ると不況に等しい。今回の危機の元凶は史上最大の資産バブルだ。金融市場は間違いなく過去80年間で最大のショックを経験しており、また被害を蒙っているのは先進国の中で米国だけではない(例えば、英国の住宅市場も米国市場と同じような兆候を見せている)。しかし少なくとも今までのところ、世界経済が崖を転がり落ちている兆しはほとんどない。

米国の失業増加のペースも以前の不況時に比べ緩やかで、この傾向が続くと考えられる理由は2つある。まず米国の政策立案者の動きだ。議会は問題発生の早い段階で資金投入に踏み切り、すでに(住宅市場の救済と共に)第2弾の刺激策が検討されている。FRBは金利を引き下げ、また経済低迷が続けば追加利下げを行うことを確約し――さらに最も重要な点かも知れないが――緊急融資などの案全網を投資銀行にまで広げ、金融市場大崩壊の可能性を急速に低下させた。

第2の理由は世界経済の構造的変化だ。新興国市場の活気と回復力は米国の重要性が昔ほどではないことを意味している。IMFは、世界経済の成長率が2007年の4.9%から今年は3.7%に低下すると推定しているが、これはとても壊滅的状況とは言えない。さらに、これらの諸国は米国への打撃を緩和することにも一役買っている。ドル安も追い風となり、すでに世界需要が米国の輸出を増加させている。一方、米国住宅市場崩壊による損失の一部は、海外市場で痛みを伴いつつ負担されている。

こうした下支え要因により、米国は深刻な不況を避けることができるが、力強い回復は期待しないほうがいい。今年後半には減税措置が消費を後押しするだろうが、住宅市場崩壊の余波はさらに相当長期間残るだろう。住宅市場崩壊が生んだ金融危機に以前、見舞われた他の先進国、例えば1990年代前半のスウェーデンやノルウェーなどの経験から判断すると、不況の影響は何カ月ではなく何年の単位で消費を圧迫する。2008年の景気後退は緩やかかも知れないが2009年の回復は腰が弱いものになるだろう。

ノロノロ進むカタツムリに注意

世界経済にとり最大の問題が、米国不況のカタツムリ状態が大方の予測よりも長く続くだけのことであれば、ほっとする人も多いだろう。金融危機の規模を考えれば、もっとはるかに厳しい状況になってもおかしくないのだから。また景気の過熱が5年間も続いた後では、より穏やかな世界的成長も悪くはないとの主張さえできるだろう。そうした成長は新興国のインフレ圧力を和らげ、また米国内の需要低下は同国の膨大な貿易赤字――すでにGDPの6%超から5%以下に減少している――を削減させる効果もある。

しかし楽観論もここまでだ。大きな不安は、米国以外の国の回復力が現在の見かけほどではないのが証明されることだ。例えば商品の輸出業者は、以前に比べて対米依存度は下げているかもしれないが、完全に依存から脱却した状態からはほど遠い。ドル安も問題を引き起こしている。例えば、中近東諸国のように自国の通貨をドルに連動させている国にとっては、米国の金融緩和政策に今後とも追従することがますます難しくなるだろう。自国通貨の為替レートを切り上げる必要がでてくるからだ。

政治の絡みも多くの被害を引き起こす場合がある。来年、米国の新しい大統領は、不景気な米国という難物を引き継ぐ。財政赤字が膨らむなか、例えば健康保険の適用範囲を拡大するなどの大幅な国内改革は難しいだろう。経済が低迷していれば、かりに民主党が政権を取っても、ジョージ・ブッシュの減税を縮小させるとの彼らの政策を見直す必要に迫られるだろう。

さらに大衆主義と保護主義も忘れてはいけない。すでに米国では10人に8人が自分たちの国は間違った方向に進んでいると考えている。不況が長引けば、大衆の怒りは非難のスケープゴートを探すだろう。実際には自由貿易は米国がさらに厳しい景気後退に陥るのを防ぐ一助になっているにもかかわらず、ブッシュ大統領はコロンビアとの貿易協定に議会の承認を得るのに苦戦している。ドーハ・ラウンドの進展を祈りたい。一方、金融市場の監視・監督を強化し、さらに石油産業、クレジット・カード会社あるいは他のあらゆる富裕な「悪者」に対する制裁措置を求める動きが加速するだろう。米国の大きな景気減速は、大方の懸念ほど悲惨なものではないかもしれないが、危険に満ちている。






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